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カテゴリ:読書
大好きな福岡伸一センセの
「できそこないの男たち」。 大好きなので、ぐずぐず大事に 少しずつ読み進んだのだが、 読み終わっちゃったよ~! 読んで即ファンになった 「生物と無生物の間」に続く、 またまた傑作でござる。 先生の専門、分子生物学から、 男と女、オスとメスの関係を 科学的に明晰に分析。 まず、人間は考える葦でなく、 考える管なのである。 人間はすべて脳がコントロール、 と思ったら大間違い。 消化器、特に腸は勝手に 動くのである。 なんでって、発生学的に 細胞分裂の後、最初に出来るのは、 細胞を貫く口から校門までの管。 なるほどそうだわ、やんちゃなんか、 いつも消化器官で物考えてるぞ! 消化器官は第二の脳なのだよ。 SRY遺伝子という性決定遺伝子で、 性が変化するのであるが、 それはメスからオスが作られる。 聖書もボーヴォワールも間違っていた。 アダムからイブが作られたのではない。 どころか、 イブからアダムが作られたのである。 人は女に生まれるのではない、女になるのだ。 ではない、どころか、 人は男に生まれるのではない、男になるのだ。 本著にアリマキ的人生、という項があるが、 アリマキは今でも春から秋はメスのみ。 メスが交尾なしにメス、それも卵でなく、 マトリョーシュカのようなメスクローンを どんどん産んでいく。 ただ、餌が少なくなる秋になると、 突然一部のメスがオスになる。 そして、冬になる前にオスは、 出来るだけ多くのメスと交尾し、 メスは卵を産むが、春になるまで、 卵は孵化しない。 春になると孵化するのだが、 なんと生まれるのはメスばかりだ。 一体、これはどういうことだ? オスはどうして生まれない? これなら、オスが出てくる必要、 あるのかな? しかし、このアリマキの生態こそ 性の本質を現しているのだ。 本来、メスしかいなかったのだし、 メスがメスを産む連続でよさそう。 実際のところ、生物は発生から 10億年もの間、メスだけだったのだ。 しかし、ここからが凄いところ。 長い長い時間の間に環境が変わる。 その時、クローンで同じような 遺伝子のみだと全滅のおそれがある。 オスを作り、交尾することにより、 遺伝子はすこしずつ混ざっていく。 こうして、新しい形質が作られ、 新しい環境に合うものが残っていく。 オスはメスの遺伝子を伝えていく、 単なる「運び屋」なのである。 オスであり続ける為には、 オスはテストステロンという ホルモンを一生浴び続けないといけないが、 これは免疫作用を低減させるらしい。 男の方が女より寿命が短いのは、 働きすぎだとかストレスが多いとか そういう理由じゃないらしい。 生物学的に発生の段階でリスキーなのだ。 弱きもの、汝の名は男、 なんだか、心から男性に同情。 今日から優しくしてあげよう!! 「できそこないの男たち」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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