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カテゴリ:ちょっとなつかしのファンタジー
アメリカのティーンズに人気のシリーズだそうで、全4巻の1巻目『冒険のはじまりしとき』を読んでみました。
辺境育ちの少年が、旅をしたり武者修行をしたりして成長していく、というのは異世界ファンタジーのもっともありがちなパターンですが、このお話は主人公を女の子にもってきたのですね。 ヒロインのアランナは男装して性別を隠しているうえ、心も体もそろそろ女性として成長し始める時期なので、いろいろ苦労やハプニングがいっぱい。それを一途にがんばって乗り越える。周りにはいじめっ子あり、友だちあり、きびしい先生にやさしい先生、王位を狙う悪者、と典型的な役者が勢揃い。 アランナは血の気が多いけれどとてもいい子で、好感が持てます。周りのお定まりな登場人物たちは、それに比べるとちょっと魅力が足りないですが、もしかしたらアランナ自身がまだ子供(1巻では10歳~13歳)なので、自分を取り巻く人々をつかみきれていないのかもしれません。この年頃は自分のことで精いっぱいになってしまう子も多いと思いますから。 わたし的には、こういうヒロインのこういう物語って、何度も出会っているような気がします。特にコミックスの世界で・・・『ベルばら』のオスカルはもちろん、木原敏江の「とりかえばや異聞」(確か『夢の碑』に収録)に出てくる、双子の兄の身代わりに戦国時代の殿様をつとめる紫子とか、やはり双子の兄とよく入れかわりを演じる『妖精国の騎士』ローゼリイとか。 思うに、男性と同じように強くありたい、活躍したいというのは少女(いや大人の女性でも?)に共通する願望なのでしょう。 私は男女雇用機会均等法という法律ができたてのころ社会人になりましたが、周りにはいわゆるキャリアウーマン(死語?)志望の乙女たちがたくさんいました。男性と同じように残業でも転勤でも頑張って、男性社会での地位を獲得しようとするあまり、何だか時々女性であることを捨ててるんじゃない?と思える人々がいたものです。 アランナが、ふくらみ始めた胸に包帯を(日本式に言うとさらしを)巻いて、重い剣の稽古に打ちこむ姿は、熱血だけれどどこか無理していて痛々しい。でも本人は同情されるのは負けることだと思っているから、ひたすらつっぱっている。そうやっているうちは、周りの人間のほんとうの優しさ(ベルばらでいうと、アンドレの優しさですね)に気づくことができないのです。 この物語はアランナの視点しか詳しくえがかれていないので、今の段階では、魅力的なはずの双子の兄トムとか、ジョナサン王子、盗賊王ジョージ(この人物はまったく描き足りていない)が、まだまだ薄っぺらいです。 とりあえず2巻以降でアランナは、周りにも女性であることを公表する予定のようですし、精神的にも自分の中の女性に目覚めていきそうなので、そこで個性的な魅力が出てくるかどうか、がこのシリーズが面白いかどうかの決め手なんじゃないかと思います。 ところで、タイトルが1巻だけ文語体なのはなぜなんでしょう。なかみの文体と合っていなくてヘンです。2巻以降はとても普通のタイトルなんですけど。なかみも、会話文とか特に、訳がちょっとこなれていない感があります。原文は読んだことないので何とも言えませんが・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 9, 2011 11:24:33 PM
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