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カテゴリ:ちょっとなつかしのファンタジー
前回に付け足す感じで、『黄金の鍵』(吉田新一訳、ちくま文庫)に収録されているおとぎ話「巨人の心臓」について。
これも、どこかで聞いたようなお話。作者も「ケルトに伝わる巨人国伝説」について言及しています。しかし実際はヨーロッパ各地に似たような話があるようです。 この手の巨人は、大事な心臓を体の外のどこか(じつは鳥の巣の中)に隠しておいて、だから自分は無事だと思いこんでいるのです。主人公の子供が巨人の家で隠れているあいだに、巨人の妻が心臓のありかを聞き出し、それを盗み聞きした主人公が心臓を探しあてて巨人を倒すのです。 小さな主人公が大きな巨人(鬼)を退治するのはよしとして、不思議なのは「体の外に心臓を隠す」というモチーフ。どんなふうにするのか、ちょっと想像もつかない気がします。 しかし、「心臓」というのを「他人に奪われたら困る、いちばん大事な物」と考えると、たとえばこれは「お財布またはお金」のことかな? と置き換えてみてはどうでしょう。 すると、巨人とその妻のこんな会話も、なるほどありそうだなと思われます; 「いまどこにおいてあるか知らんだろう。一か月前に動かしたよ」 「まあ、・・・自分の妻を信用できないなんて」 そして妻は夫に、心臓を家の中のどこかにしまっておくようにと言いますが、夫の本音は「それでは妻を有利にしてしまう」。 「自分の心臓の世話ぐらい面倒でいやなことはないなあ。まして責任なんか背負いきれたもんじゃない・・・」 「ですからあたしにあずけたらいいと言っているでしょう・・・」 「そりゃわかっているよ、おまえ。だけど、それじゃあおまえに責任をかぶせすぎる」 --「巨人の心臓」吉田新一訳『黄金の鍵』より 心臓をお金に置き換えると、とてもわかりやすい、でも卑近なやりとりになってしまいますね。 本当の心臓だと思ってみたり、財産の詰まった財布だと思ってみたりすると、おとぎ話は二度三度楽しめます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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