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カテゴリ:ちょっとなつかしのファンタジー
「闇の戦い」シリーズのスーザン・クーパーの最も初期の作品の一つ、『コーンウォールの聖杯』は、今では「闇の戦い」シリーズの第1作とされていますが、雰囲気は『闇の戦い』以降の4作とだいぶ違います。
4作の主人公、11歳にして「古老」に選ばれたウィルがまだ登場せず、シリーズを貫く善悪の歴史的戦いもまだ表に現れてきません。物語のメインは3人兄弟の夏休みのお宝探しで、「悪」はお宝を狙う悪者にすぎないため、いろいろ背景に疑問は残りますが、とりあえず子供たちの冒険を楽しむことができます。 泊まった別荘の屋根裏探検、古地図と古文書の発見。なぞめいた立石、月光が示すお宝の隠し場所。村のお祭。子供たちだけで海辺の洞窟探検。ついにお宝「コーンウォールの聖杯」発見。 並行して悪者がせまってきます。悪者の正体も、味方となるメリー大伯父さんの持つ不思議な雰囲気も、子供たちにはなぞめいたまま。読者としては少し気になりますが、神秘的な雰囲気を残しておくのも、活劇的な宝探しの奥行きとしては、成功していると思います。 というのも、子供の目線から語られているので、背景が重すぎるとどうしても全体がむずかしくなってしまいます。あとの4作がまさにそんな感じで、子供でありながら歴史的戦いの善の側の重要人物「古老」となったウィルは、重い使命に、ともすれば子供らしさを失いがち。 歴史ファンタジーとしての世界の構築は、4作のほうがしっかり説明されていて、完成度は高い。しかし、それゆえのハードさが全編を覆っていて、読む方にもかなり「覚悟」が要ると思います。 それはちょうど、子供向けのお話として書かれた『ホビットの冒険』が、背景の善悪の争いを追求した結果、重厚でときには悲壮感すらただよう続編『指輪物語』三部作へと続いていったのと、同じような経緯ではないでしょうか。 ともあれ、1作目の『コーンウォールの聖杯』は、重厚長大な「闇の戦い」以降4作の前座として、より親しみやすく楽しめる作品だと思います。 全体に、さほどファンタジーじみてはいなくて、日常の範囲内でのマジカルな体験がいくつかあるばかりです。が、その中でも、イギリス人にはきっと魔法のようなオーラを放つ「アーサー王」が、子供たち、とくに年少のバーニーに与える影響力が、わたし的にはすばらしいと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 6, 2015 12:52:14 AM
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