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カテゴリ:これぞ名作!
第22話は、前の21話のハッピーエンド・バージョンではないでしょうか。
「世界旅行者」が旅に倦んで、「中国風の女郎屋」と見える建物に入り、娘に導かれて神秘体験をする話です。外界でいろいろ活動し、自己実現しようと奮闘してきた男が、求めるもの(=全き自己)を得られず、最後に行き着くのが「売春宮殿」だったり「女郎屋」だったりするのですね。これが女性だったら、全然ちがう場所へ行き着くと思いますが・・・、まあエンデは男性ですから、こういうイメージになるのでしょう。 今度の主人公「世界旅行者」は21話の乞食の王様よりも、失望の自覚ははっきりし、女性に会う自覚はあいまいなようですが、結局、疲れ果てて女性の元へ行くところは共通しています。そして乞食の王様は女王との対話のなかで自分自身を明らかにしていった(読者に対しても、たぶん彼自身に対しても)のに対し、世界旅行者は建物の中で、内界の探索を行います。 ・・・なんですが、この話に限って文章が解説的で、そのわりに(そのせいで?)説得力に欠けるように感じられます。主人公が見聞きするのは暗示的で印象的なモノばかりなのに、そこにストーリー性がなく、主人公との関係性もはっきりしません。主人公もそれらを受け止めているけれど、積極的にかかわったり感想を述べたりしないので、なぜそれらのモノが主人公に自己実現や充足感をもたらすのか、実感がわきません。 第18話の展覧会見物の夫妻も、直接関係のないオブジェを見ていますが、彼らの方が親近感を覚えるのは、オブジェに対して生き生きとしたリアクションをしているからだと思います。 世界との絆を得、男女間の絆も得て、主人公は案内役の娘とともに幸せに人生の再出発をするところで終わっていますが、読者である私はハッピーエンドな二人を見送って後に取り残されたような気分になります。もしかして男性の読者なら、もっと主人公に寄り添えるのでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 6, 2016 11:14:02 PM
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