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カテゴリ:これぞ名作!
第23話。帆柱を下りてゆく老船乗りと、帆桁を進んでくる綱渡りが出会う話。
第17話からわりと長くてこみ入った話が続いていましたが、ここで一段落というつもりでしょうか、短い話です。テーマはたぶん「クロイツ(十字)」でしょうね。 鉛直に帆柱を下りる船乗り。彼は「世界を百四十四回まわった」といいますから、船と彼とはずっと水平に移動し続けています。タテとヨコの移動。ここに十字形ができます。 いっぽう、綱渡りはもともと船の帆桁には居るはずがないので、どうやら忽然と出現したようです(というのも、次の第24話に「ひとりの綱渡りを全力で想像する」と「肉体化」つまり現実に出現するという記述があるのです)。彼は水平に歩いてくる。綱渡りの身体のタテと帆桁(それに彼が持っているバランス棒)のヨコ。ここにまた十字形。 二人が出会う場所は、帆柱と帆桁の交差した十字形の所。さらに、船乗りが空に探し求めて見いだせないという「十字」、綱渡りの「腰骨(クロイツ)」、あるいは重力に「対抗する力」と「平衡する力」の対比なども十字形ととらえられるでしょう。 十字(クロイツ)というと、第7話で男(キリスト?)が吊されていた「十字架」を思い出します。そもそもこの本の表紙は「窓の十字架」というエンデの父の絵なので、作者はここで短い話にたくさんの十字形のしるしをちりばめて、宗教的な暗示をしているようです。 昨年から書いてきたこの感想の一貫したテーマである「絆」にこじつければ、キリスト教で神と人との絆のしるしである十字形がどこにでも見つけられることを暗示しているのでしょう。 しかし、具体的な「絆」はあまり見えてこないように思います。老船乗りと綱渡りは対立から和解し、役割を替えて別れますから、友情を結んだとも取れますが、老船乗りは結局天に十字を見つけることができませんでした(その代わりに、綱渡りとなることで自ら十字形を体現するのですが)。綱渡りは船乗りとなりますが、果たして彼には十字形を見つけることができるのでしょうか? 帆柱を降りていってしまいましたが・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 22, 2017 12:20:17 AM
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