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カテゴリ:これぞ名作!
第24話。廃墟の町の芝居小屋で、男の子が魔術師を呼び出す話。
廃墟には「爆弾の炸裂した」穴や「自動車の墓場」もあるので、現代の光景。同時に、レトロな「歳の市」の芝居小屋もあり、少年はそこへ入っていきます。 魔術師を呼び出すといっても、呪文を唱えるのは男の子ではなく、芝居小屋の幕の向こうで、 私どもの魔術師はすでに何時間もまえから額に汗して、アグリッパからアインシュタインにいたるきわめて強力な呪文の数々をとなえて、この幕のうしろで人間の姿を凝縮して可視的なものにするよう、作業をつづけております。 --ミヒャエル・エンデ『鏡の中の鏡』丘沢静也訳 この声によると、綱渡り(どうも第23話の綱渡りらしい)の姿や存在理由を想像すると、「肉体化」が成功する、というのです。 引用部分に出てくる「アグリッパ」はルネッサンス時代の大物魔術師なのでいいとして、彼に対する最新の「魔術師」がアインシュタインであるのがおもしろいですね。そういえば、第3話の大学生が覚えようとしていたのはアインシュタインによる「特殊相対性理論」(時間と空間のゆがみ関連)の公式でした。 で、心の純粋な少年のおかげで幕が上がり、一人の男が登場するのですが、彼は綱渡りではなく、魔術師(タロットカードに描かれた魔術師パガドだそうです。帽子や、両手のポーズがカードの絵と同じ)です。 ならば、さっき強力な呪文をとなえていたという魔術師が彼で、最初から幕の後ろにいたのでは? という疑問がわきます。彼は「これで芝居は終わり」と言っていますから、実は聞こえていた声も彼で、幕が上がるまでの口上と彼の登場こそが芝居だったことになります。 しかし、リクツをいろいろ考えても、あまり意味はないようです。 大事なのは、魔術師(終わり=エンデと名乗る)と少年(ミヒャエルと名付けられる)が出会ったと言うこと。それぞれの名は作者の名前と苗字なので、二人揃うと作者の誕生、作者だから物語世界を創ることができる。パガドは断言しています: 「…(新しい世界が)もしも見つからないなら、私たちが魔法で世界を呼びだすんだ」 また、終わり(エンデ)と始まり(名付けられたばかりの少年)の出会いと見ると、ぐるぐると円環になってまわるウロボロスの輪(『はてしない物語』でお馴染みのモチーフ)であり、やはり時間と空間をあやつって「世界」を表す・・・みたいなイメージですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 14, 2017 11:59:35 PM
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