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カテゴリ:ちょっとなつかしのファンタジー
ロンドンの紳士の集うクラブで、常連ジョーキンズ氏が語る“トラベラーズ・テイル(ほら話)”。ちょっと前に『ウイスキー&ジョーキンズ』という本が出ましたが(未読!そのうち買わねば)、これも同じシリーズ。ただし私が持っているのは30年以上前の早川FT文庫です。このころ、荒俣宏訳のダンセイニ作品が次々出版されたのでした。 英国の伝統的文化“クラブ”の雰囲気を味わえるほか、文学的だけどあくまで軽い語り口や、20世紀前半の古風なSF、英国やアイルランドらしい幻想趣味、自然描写の精妙さ、などが、情報過多で多忙すぎる現代にはレトロで心地よい感じ。 大好きな「ドリトル先生」シリーズの“ネズミ・クラブ”についてでも書いたことがありますが、この種の読み物はクラブという一つの枠の中にさまざまなジャンルの物語が詰まっていて、そのバラエティを味わったり、気分によって好きな物語をチョイスして再読したり、そんな楽しみ方ができます。 でもダンセイニですから、すべてに幻想四次元的な奥深さが漂っているのも嬉しい! 以下、いくつかご紹介と感想。 ジョーキンズが人魚に恋をした思い出、「ジョーキンズの奥方」。ホテルで見せ物にされていた人魚は、神秘的な海の瞳をしているけれど、ホテルの噂話が好き。かみ合わない二人がおもしろい。人魚姫の野性の美に恋をしたジョーキンズは野性のゆえに失恋する。 「妖精の黄金」は、アイルランドの有名な妖精レプラホーンの民話どおり。予想できる結末だけど、ちょっとだけSFのタイムトラベル的な味付けが最後に。 ツングース大爆発にまつわるほら話「大きなダイヤモンド」。トラベラーズ・テイルの真骨頂! 「最後の野牛」は期待しているとジョーキンズに煙に巻かれ、「クラヴリッツ」は「時と神々」調の小話で、ジョーキンズ氏はしばし不在。と思ったら「ラメセスの姫君」で古代エジプトの恋物語を紹介してくれる。ところでこの話、井辻朱美の「ファラオの娘」とイメージが重なってしまいました(ストーリーは全然違いますが、クレオパトラを始めエジプト美女というのは独特のイメージがありますね)。 「ジャートン病」もちょっとごまかされた感じがするけれど、次の「電気王」は読み応え十分、語りはくどいけれど大変おもしろかった。この話の主人公がジョーキング氏(ミスター冗談)ではなくメイキング氏(ミスター発明家、実業家)という名前なのが、まんまで人を食っている。エジソンなんかがモデルかしら。 メイキング氏は自分のあふれるアイデアやその実用化の思考に終われまくってノイローゼになり、救済を求めてインドへ行く。インドの魅力たっぷり。特に、最後に救済を得るヒマラヤのラマ教寺院は、ペガーナの世界をどこか彷彿とさせる。この話や、神坂智子のシルクロードなコミックス、さらにいつぞや読んだ藤枝静男『田紳有楽』なんかによると、やはりラダックとかあの辺は悟りを開くには最適な所みたいですね。そして、オチが最高! 「われらが遠いいとこたち」「ビリヤード・クラブの戦略討議」はちょっとひねくれたSFです。前者はいかにもどこかで読んだような展開(語り尽くされた感あり)ですがレトロな宇宙旅行を楽しめます。後者は、ちょっと笑えないオチですね、核兵器の存在が当たり前になってしまっている現代、しかもわが国では… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 23, 2017 09:46:23 PM
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