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カテゴリ:これぞ名作!
子どものころの私がリスペクトしていた4人の動物学者さんの一人。といっても、他の2人はドリトル先生とぽっぺん先生という架空の人物で、残る1人はヒヨコの「刷り込み」で有名なローレンツ博士です。
河合雅雄氏やローレンツ博士は、動物を研究対象とする以前に、ほんとうに「好き」なんだな!と思えるところがあって、親近感がわきます。 『少年動物誌』の初めの章は「モル氏」と題して、彼が子どものころ飼っていたモルモットの話ですが、ちょうど最近のブームにも負けないぐらい、モルモット愛に満ちています。私はこの本を読んでモルモットが「クイ、クイ」(アニメ「PUIPUIモルカー」などでは「プイ、プイ」と記されています)と鳴くことを知りました。 少年河合氏はモルモットを「モル氏」と呼んでかわいがり世話をし、繁殖させて売りさばきもしますが、当時は餌だって自分で草を刈ってくるのですから、大変です。冬場は草を求めて遠くまで走り回り、最後にとうとう麦畑の麦の葉を盗んで帰ります。また、台風の日には囲いが濡れて「チビモル氏」が死にそうになるので、自分もずぶぬれになりながら服にくるんで暖めてやります。 お題目の動物愛護や、研究・商業目的の動物保護とちがって、これは本当のペット愛ですよね。ペットショップで何でも揃え、服を着せたりインスタ映えを狙ったりする昨今のペット愛とは、少し別物ですが。 私は今も昔も、たとえペットでも野生味のある姿が好きなたちなので、『日本動物記』の中の卒業研究「飼いウサギ」や『少年動物誌』をとくに愛読していました。そしてとうとう、五年生か六年生のある日、両親を説得して河合氏の故郷、丹波篠山まで連れて行ってもらったのです。 城跡、篠山川、粟嶋神社などを見て回ったあと、河合氏のご実家を見つけて前をうろうろしていたら、お家の人(お兄さん?の奥様??)が声をかけてくださいました! 珍しく私のすすめるまま『少年動物誌』を読んだ父が、「川で魚をつかみ取りする話を読んだが、自分も子どものころ同じことをしていた。自分は九州なので魚の名まえが違っていたが、つかみ取りのやり方は同じだった」と熱心に話し、私は「飼いウサギの群れの社会構造を観察した庭が見たい」と訴えて、なんとお家の中まで見せていただきました。 庭(思っていたよりこぢんまりしていました)はもとより、『少年動物誌』の挿絵にある子ども部屋の窓まで見せてもらったように記憶しています。 感動のあまり私はろくにお礼も言えず、ぼーっとなって帰りました。 それで、将来は河合氏のように「京大理学部動物学科」で動物行動学の研究者になるんだという遠大な妄想をした私でしたが、もちろん圧倒的に頭脳が足りませんでした。おかしいなあ、河合氏と同じように、動植物を愛でて遊んだ子ども時代を送ったつもりなのに、学者にはなれなかったなあ、と大人になったとき思ったものでした。 ご冥福をお祈りいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 19, 2021 01:20:02 AM
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