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カテゴリ:かるいノリで古典を
クー・フリン(クーフーリン)については、以前書いたことがあるのですが、アイドルみたいな細身の若者なのに、戦いの時には想像を絶する怪物と化すというギャップが特徴です。『トーイン』は語りを聞いて楽しむ、日本古典でいうと「講談」みたいな、現代風にいうとラップみたいな作品なので、語り手が調子づくとどんどん現実離れした形容があふれ出てしまうようです。
[クー・フリンの]あごがあんぐり開いて口の中がまくれあがったので、肺臓やら肝臓が喉の奥でぱたぱた動いているのが見えた。・・・心臓は血に飢えた猟犬が餌を求めて吠えるように、あるいはまた、熊の群れに割って入った獅子が吠えたてるごとく、肋骨の内側でがらんがらん鳴り響いた。・・・濃く、太く、むらがなく、大船の帆柱のように立ち上がったのは、頭蓋骨の源泉からまっすぐに噴出した***。その血柱がしだいに崩れ・・・ ――-キアラン・カーソン『トーイン』栩木伸明訳 上記のように、少しばかり引用したら、何と「日記のプレビュー」で「公序良俗に反する表現がある」というエラーメッセージが出てしまいました! (仕方なくその部分を削除して「***」としました。いわゆるG指定的な言葉なんですね)。 クー・フリンは、怪物から美少年に戻ってからも、ほっぺたには4色のえくぼ、指は7本、敵の生首を10も20もぶら下げて登場するのですから、井辻朱美が解説で、「遠近法以前」「視覚からの逸脱」「細部の肥大」などと表現して、「これはいったい人間でしょうか……」となかば呆れつつ感嘆しているのもうなずけます。 でも、私たちはこういう、人間であって人間でない、度外れた体躯や能力を持つ変身ヒーローを、アニメやゲームの世界で割と見慣れているのではないでしょうか。 普通人である主人公が変身するそのギャップは、どんどんエスカレートしていきます。クラーク・ケントがスーパーマンになる程度なら大きさは変わらないけど、初代ウルトラマンはすでに巨体でもののけじみた容姿です。 (アベンジャーズのルーツである)超人ハルクは見た目もかなりモンスターですが、理性が飛んで怒り狂うと放射線で地球を滅ぼしかねないほどだそう。現代版クー・フリンといえるかも。 クー・フリンは純粋な人間じゃなくてデミ・ゴッド(父は光の神ルー)ですから、そりゃあ人間離れした肉体や、想像を絶する変身を遂げるのも当然なんでしょう。 FGOのいろんな姿のクー・フリンを、娘に教えてもらいましたが、下半身がムカデみたいになったバージョンもあるんですねえ。でも、原典『トーイン』に出てくるおしゃれで繊細な美少年や、絵にも描けない魁偉な血まみれ殺人鬼ほどの、すごい姿はないようです(けっこう地味だわFGO)。 『トーイン』をそのままアニメ化したら、FGOのキャラを上回るものすごいヒーローの、ありえない戦闘アニメができそうですね。もちろん、恋に涙に、エモーショナルな場面も満載で・・・誰か、制作してみたらいいのになと、思いながら読み返すのもまた楽し。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 1, 2022 01:54:29 AM
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