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Apr 30, 2007
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笹本玲奈さんの演技に、女の細やかさとめりはりがついて、すっかり面目を一新していた。
ダブルキャストのもう一人、新妻聖子さんと同じところまで軽やかに駆け上がってきた。
心から祝福したい気持ちです、笹本さん! 
すばらしかった!

帝劇ミュージカル「マリー・アントワネット」。
観劇5度目の今回4月29日は、家族4人で2階席最前列中央で。

昨年11~12月の公演と比べて、4~5月の凱旋公演は第2幕後半のシナリオ・演出が変わり
(↓詳しくはこちらに書きました)
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200704110000/

きっと笹本さんも演技しやすくなっただろうと思っていましたが、
予想以上の出来ばえでした。

笹本さんは笑顔のたいへん美しいひと。
ところがこのミュージカルで彼女をとりまく状況というのはつねに何かしら深刻さを抱えていて、「すがすがしい笑顔」を振りまくわけにはいかない。

舞台を率いてゆく存在だというプレッシャーも加わってか、去年は張り詰めた一本調子の“男の子みたいな”演技だったのですが、

今回見せていただいた舞台では、肩のちからを抜いて芳醇なブランデーの仕上り。

話の流れのなかで「いたずらっぽい笑い」「得意げな笑い」「皮肉を交えた笑い」などなど、いろんな笑顔(といってもそれぞれにクセのある笑顔)に挑戦している。
清楚な新妻聖子マルグリットと対照的に、やや妖艶なマルグリットに仕上がりました。

今だから言えるけど、笹本さんの舞台メイクアップ、去年はアイラインが濃すぎてパンダちゃんになっちゃってた……。
彼女の本来の美しさが埋もれてしまって、とても残念でした。

この辺も今回の上演では改善されていて、ファンとしては申し分なしです。


4月から新しく加わった二人の役者さん、フェルセン役の今 拓哉(こん・たくや)さんとオルレアン公役の鈴木綜馬(そうま)さん。

4月10日に拝見したときは
確かな実力に感服しつつも、11月から演じ続けてきたキャストとの微妙な“ノリ”の差も感じられたのですが、
4月29日公演ではパワー全開。

涼風真世さんのマリー・アントワネット役の相手をするには、3月まで出演した井上芳雄さんのフェルセンでは若すぎたという説がありますが、

今 拓哉さんになってよくなったなと感じさせられたのが、
ルイ16世が処刑され、思いやつれて白髪となった王妃にフェルセンが会うシーン。

一気に老けてしまった自分の姿を、愛するフェルセンにこれ以上見つめてもらいたくはない。

千々(ちぢ)に乱れる王妃にフェルセンは
「今のあなたにこそ一層の気高さを感じ、お慕いの気持ちでいっぱいだ」
と思いを伝えるのです。

なんと深い愛なのだろう。ぼくもそんなふうにひとを愛したい……
涙が頬を伝いました。

これまで4回の公演では気がつかなかった宝石を、ヴェテランの演じるフェルセンによって発見できたのでした。
(あのシーンで味を出すには、井上芳雄さんは若すぎました。)


まだ早いかもしれませんが、数年後に「マリー・アントワネット」を再演するときには、
マリー・アントワネットを新妻聖子さん
マルグリットを笹本玲奈さん
で見てみたい。

この二人、舞台メイクアップを施すと、よく似ているのですね。
(じっさい、去年のある公演で隣のお客さんがすっかり勘違いしていました。)

もともと遠藤周作がマルグリットという架空キャラクターを創造したときの設定は「マリー・アントワネットと瓜二つ」というもので

だからこそ例の「首飾り事件」でマルグリットは「マリー・アントワネットになりすませ」と頼まれるわけです。

涼風真世さんと新妻さん・笹本さんでは、年齢と顔立ちの違いからとうてい「瓜二つ」にはなれない。

マリー・アントワネットが、瓜二つのマルグリットへ“シャンパンの洗礼”を施す場面など、ぜひ見てみたいものです。
そういう『王子と乞食』的趣向が、マルグリットの存在にはあったわけですから。

いや、ほんとうは、マルグリットはマリー・アントワネットの異母姉妹だったのではないかとさえ、ぼくは思っているのです。





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最終更新日  Apr 30, 2007 07:36:15 AM
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