カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
うちのひとも気にいったオペレッタのCDがあった。
結婚して間もないころ。 「あかるくて、にぎやかで、ときどきしみじみして、いいわよね。気にいっちゃったわ。わたしのテーマ曲にしようかしら。なんていう題なの?」 「えぇとね。……じつは、『陽気な未亡人』って名前で」 「まぁ、縁起でもないわ」 「いや、君ならきっと陽気な未亡人になると思う」 「え、それってあなたが死んじゃうってことよ。……変なひと」 その後も遠慮がちにときどきかけていた「陽気な未亡人、メリー・ウィドウ」。 どんな作品なのか。 だから、4月28日の二期会の皆さんによる公演、前々から楽しみにしていました。 (↓関連サイト) http://www.operetta-festa.jp 東京オペラシティのコンサートホール。 舞台に東京フィルがどんと構えて、その手前で(ということは舞台装置は最小限ということですが) オペラ歌手たちが (もちろんマイクなしで) “ミュージカル” を演じたと形容すればいいでしょうか。 日本語訳詞による上演でしたが、それでよかったのだと思います。 小国ポンテヴェドロのフランス公使役の加賀清孝さん、ヴェテランの余裕でアドリブでウケをとっていました。 陽気な未亡人を演じる腰越満美(まみ)さん、公使夫人を演じる林美智子さんが、酔わせてくれる。 コミカルな役どころで脇を固めるひとびとも、それぞれに楽しみながら全力をこめていて好感度の高い公演でした。 「メリー・ウィドウ」、主旋律はいかにもウィーンらしい甘美さにあふれていながら、ハンガリー舞曲の親しみやすい旋律も随所に登場します。 公演の協力者として、オーストリア政府観光局とハンガリー政府観光局が名を連ねていて、 会場では充実したウィーン観光案内パンフをいただき、 勢いでハンガリーワインを2本かってしまったのですが、 帰宅してCDの説明書を読み直したら、この作品は 初演が明治38年(1905年)ウィーンにて。 作曲家のフランツ・レハールはハンガリー出身で35歳のときの作だというのですね。 陽気な未亡人は、たしか第2幕でアリアを絶唱するとき民族衣装をつけていて、華麗と落ち着きをあわせもった雰囲気と色調がヘレンドの陶器を連想させたのですが、 あれはきっとハンガリーのとびきりおしゃれな民族衣装だったのでしょう。 13名のオペラ歌手と5名の踊り子さん、そして東京フィルが準備に準備を重ねて、わずか1日の公演というのは、ほんとに惜しい。 「メリー・ウィドウ」は分かりやすく、オペラの世界への入門篇としてもぴったりなので、学校教育のなかにもっと取り入れていいのじゃないか。 いずれにせよ この未亡人は、一国の富を凌駕するような大富豪の財産を相続し、かつて恋焦がれたひとと再婚するハッピーエンドで、 これならうちのひとのテーマ曲にしてもいいとぼくは思うのであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 6, 2007 05:48:59 PM
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