劇団「ナイロン100℃」の公演。
この劇団の演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチさん(44歳)に心酔するファンのコメントを読んだのが縁で、
先週、仕事帰りに青山円形劇場へ行ってみた。
日本近代劇の開祖、岸田國士(きしだ・くにお)の8つの短篇劇を巧みに編みなおして3時間近い作品に仕上げてある。
三島由紀夫の近代能楽集のような手触り。
(↓関連サイト)
http://sillywalk.com/nylon/sche.html
役者さんたちも粒ぞろいだったが、なかでも
竹久夢二の絵から出てきたような緒川(おがわ)たまきさん。
彼女ほど美しさが整っていると、ぞくっとさせられるというより、ずっとしずかに眺めていたいという気持ち。
目の動きのタイミングが絶品だった。いい役者さん。
(↓ こんな人です)
http://sight.m78.com/sight_top_frame.htm
富裕な家の饒舌な夫人を演じた松野有里巳(まつの・ありみ)さんの気合いもこころよかったし、
物憂げでわがままでふいに色気がかおる新妻を演じる新谷真弓(しんたに・まゆみ)さんにもひかれた。
男性陣であげるとすれば、植本 潤さん。
普段は別の劇団で女形をしておられるのだそうで、今回も2役あるうちの
「すっ惚(とぼ)けた老婆」のほうは、ほんとに底が抜けている感じで
観客席からも
この女形「藝」を待ってました!
というお声掛かりがオーラとなって発せられていた。
(↓ 植本 潤さんへのインタビュー)
http://eplus.jp/sys/web/theatrix/special/nylon.html
もとの岸田國士作品は、大正末期から昭和初期に書かれたもの。
だから「停車場(ていしゃば)」、「細君(さいくん)」、「デパートメント・ストア」といった死語が飛び交うのだけど、
心のひだ(欲望、哀しみなどなど)を暗示的手法で浮かび上がらせるモダンな小品群。
この「ハイカラ」時代を舞台化するのに、和装の色彩・デザインの選択もキモだと悟ったケラリーノ・サンドロヴィッチさんは偉い。
キモノのスタイリストの豆千代(まめちよ)さんを起用しての和装は、
それぞれに華があった。
(↓ 豆千代さんのサイト)
http://www.mamechiyo.jp/