カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
帝劇ミュージカル「マリー・アントワネット」の大千穐楽(だいせんしゅうらく)。
5月30日の昼の部なので、行けるわけがありませんが、というかチケットが取れたわけがありませんが、 東宝ブログでカーテンコール時の役者さんたちの舞台挨拶を拝見できます。 http://ma1.toho-stage.com/2007/05/post_85.html#more 役を演じるというより役の人そのものとして生きた6ヶ月をふりかえりつつ、感謝のことばを述べる役者さんたち。 なかでも ルイ16世を演じた石川 禅さんのことばが沁みました。 「舞台のルイ16世を見ていただいて、ルイ16世のことを好きになっていただければ、それが彼のための供養なのではないかと思って演じました」 という趣旨でした。 石川 禅さんのルイ16世は、 第1幕では、いささかの「バカ殿(との)」として登場するのですが、 第2幕では、民乱を前にしてたましいのきりりとしたところを見せ、家族を慈しみつくす立派な父として立ち現れます。 (メイクアップも、それにあわせて第1幕と第2幕で変えていたように思います。) 立派な供養になっていたと思います。 石川さんは昨年10月2日の制作発表会のときにも ≪自分を飾る言葉を一言も持ち合わせていないのが、ルイ16世という人なのではないかと思っています。≫ とおっしゃっています。 「ことばで自分を飾らない」ことを信条としておられるのだなぁと、石川さんのお人柄を思いました。 ダンスリーダーの KENTARO さん。 ダンスミュージカルではないけれど……と言いつつ、苦労話を述べられ、 「舞台にすこしでも空きスペースが見つかると、すぐにそこに役者さんが跳びこんでいって、新たなドラマを作ってしまう。 そんなことが日々行われていました」 国王・王妃を茶化す大道芸人の芝居の場の盛り上がり、 そしてそれが突如としてマダム・ラパン処刑の場にかわるシーン あのあたりの舞台の躍動のことでしょう。 うまく調整しないと、足を踏んだりぶつかったりと、事故が起きてしまうので、と。 半年の長丁場でしたね。 マリー・アントワネットの妹(ほんとはね!)のマルグリットを演じた2人のうち、 笹本玲奈さんは 5月29日の夜の部が最終回で、そのときの舞台挨拶もブログで見られます。 「台本を読んだとき、理解できないこと、納得できないことがいっぱいで、さまざまな疑問を演出家の栗山民也さんにぶつけたのだけど、栗山さんはそれに100パーセント答えてくださった」 「体力的にもたいへんな役で、途中つらい時期もあったけれど、21年生きてきてきょうほど充実を感じた日はありません」 というようなことを話しておられます。 まじめな性格がにじみでる落ち着いた舞台挨拶。将来の大女優ですから。 「マリー・アントワネット」で大きく成長なさったんだなぁと、しみじみうれしく思いました。 わたしも公演を5回拝見したお芝居で、それぞれの役者さんがすでに他人とは思えない。 すばらしい役者さんたちが、この同じ組み合わせで顔を合わせることは2度とないのだという当たり前のことが、 千穐楽を甘酸っぱい涙でぬらします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jun 6, 2007 09:09:12 AM
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