カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
19年前にロンドンで見て以来のミュージカル「レ・ミゼラブル」。
同居中の女性にいっしょに観に行かないかと言っても 「それって、英語がわからないのにあなたに付き合わされたものでしょ」 と断られる。 英語で1度観て、そのあと何十回も英語版のCDを聴いてきたのだけど、今回日本語版を観てはじめて 「あぁ、こういうストーリーだったのか!」 と分かった次第であります。 だから、やっぱり英語がほとんど分かっていなかったってことでしょうか。 CDを聴いていても、役者さんの区別さえついていなかったことが、きょうになってわかりました……。 きょう7月1日の夜の部、観てきました。 総立ちカーテンコールの余韻がまだ残っています。 帝劇で買ったフランス語版「レ・ミゼラブル」公演のCDを聴きながら書いております。 それにしてもフランス文学というのは、 シラノ・ド・ベルジュラックといい、ルパンといい、そしてジャン・ヴァルジャンといい、 なんと魅力ある人物像を世界に与えてくれたのでしょう。 人物像を反芻しながら感動できるなんて。 しかしながら、小説ではなくこのお芝居にかぎっていえば、 ぼくにとって魅力のキャラクターは ジャン・ヴァルジャンでもコゼットでもジャヴェール警部でもなく、 やはり悲運の女、エポニーヌなのですね。 小悪党夫婦の長女という生い立ち。 夫婦に預けられていたコゼットをいじめた彼女が、年頃になって青年マリウスに恋心をいだいて、 でもそれは窮極の片思いで、 マリウスの頼みでコゼットへの恋文の遣いをして そして 流れ弾で命を落とす。 せつない。 坂本真綾(さかもと・まあや)さんのエポニーヌは、可憐でしたね。 女というより少女そのものというような。 澄んだ歌声がすてきでした。 何度もじんじん来ました。 そのいっぽうでお芝居を観ながら 無意識のうちに脳のなかで 彼女を笹本玲奈(ささもと・れな)さんに置き換えながら観ている自分がいました。 笹本さんが「マリー・アントワネット」のマルグリット役で見せたあの存在感がエポニーヌに宿ったら、 いったいどんなエポニーヌになるのだろう。 心が浮遊しました。 そして小悪党の酒場の主人テナルディエ、 きょうの配役は駒田 一(こまだ・はじめ)さん。 「ダンス・オブ・ヴァンパイア」のせむし男クコールは、言語不自由な役回りでほとんど台詞がなくて、 でも幕間に舞台上に掃除男として登場して、人気者でしたよね。 今回のテナルディエは、あのとき無口を強いられた分を十二分に取り戻す勢いの饒舌ぶりで、 しかも 駒田さん得意の大道藝感覚が活かせる役。 よかったですね、駒田さん! 「マリー・アントワネット」のボーマルシェ役の山路和弘(やまじ・かずひろ)さんのことを思い出しながら観ました。 このミュージカルで「アドリブ」ができるとしたら唯一テナルディエですが、 あまりに完成されつくした作品なので アドリブの余地はないのかもしれませんね……。 今 拓哉(こん・たくや)さんのジャヴェール警部。 今さんは自らへの厳しさがにじみ出る、しまった演技の役者さんで、 「マリー・アントワネット」のフェルゼン役もこの引き締まったところがいきていました。 その意味ではジャヴェール警部はまことに、今さんのはまり役でした。 同じ「マリー・アントワネット」のルイ16世役で、繊細だが芯の強い人物を演じた 石川 禅(いしかわ・ぜん)さんのジャヴェール警部役もぜひ観てみたい。 5月の連休明けから勤務先の部がかわって俄然いそがしくなったので、 とにかく、かの「レミゼ」を観られて先ずは一安心です。 8月初めにもう1度観る予定で、切符を買っています。 (↓ 東宝の関連サイト。いきなり音楽が流れるのでご注意) http://www.tohostage.com/lesmis/index.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jul 2, 2007 12:51:53 AM
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