カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
来年までブロードウェイでは予約席すべて売り切れ
と言われる大人気ミュージカルの 全米ツアーチームの来日公演を渋谷の Bunkamura で7月19日にみてきました。 (ブロードウェイで公演中の役者さんたちとは別の公演グループ) リラックスしてアメリカのひたすら前向きな楽しさにひたれる作品です。 舞台設定は昭和37年のメリーランド州ボルティモア市。 popsicle-colored(「アイスキャンディーのカラフルさ」=ニューヨークタイムズの劇評から)がぴったりの、1960年代モードのいいところがてんこ盛りなのですね。 日本的にいえば「シャボン玉ホリデー」が視聴者参加のダンス・コンテスト企画をやって、 そこに 主人公の豆タンクちゃんトレイシーが果敢に挑戦するお話ですね。 彼女の心をしっかり支える巨漢の母エドナを、47歳の男優 Jerry O'boyleさんが演じていて、彼(女)の存在感が舞台をぐいぐい引っ張っています。 家にかかってくる電話に 「トレイシーにご用? え? わたしは父親じゃありませんわ」 とすまして答えて笑いをとったり 「子供が間違いをやらかしても仕方ないわ。だいたい、子供って間違いから生れるでしょ」 というあたりもいい。 蚤の夫婦で、エドナの夫のウィルバーはスリムな躯体の商店経営者ですが、 娘がテレビに出たいというのに初め決然と反対する母エドナを脇において、 娘の夢をあかるく後押しするのですね。 妻エドナを愛し、娘トレイシーをしっかり信頼する、 ちょいと細いけど一家のこころの大黒柱になっている。 この辺の家族の好感度で、ぼくはもうすっかりリラックスです。 昭和37年ころのアメリカの負の部分、そこここに残る人種差別の置き土産を、自然体で乗り越えてゆく青春群像でもあります。 そのさわやかさがまた共感を呼ぶのでしょう。 最後は舞台の役者さんといっしょに客席みんなが立ち上がって踊って…… ということなのですが、 まだ公演2日目ですから客席もそこまで乗れなかった。 来日してくれた役者さんには申し訳なかったですね。 とてもいい公演でしたが。 リピーターの皆さん、がんばって盛り上げてください! 字幕上で national television を「国営テレビ」と誤訳したのが何度も出てきて、これが目障りでした。 「全国放送」「全国ネット」と訳するべきなのですがね。 同じく字幕でいえば、「自己チュー」「超メタボ」(デブの意で)あたりの新語を使ったのはよかったと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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