テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:中 国 界
日本でいえばバンダイにあたるような米国のおもちゃメーカー大手のマテル社が中国製おもちゃを大量回収(リコール)している。
商社マンをやっているとひとごとと思えない。 (おもちゃを使うこどものいる家庭こそ、もっとひとごとと思えないだろうけれど。) 8月14日に発表された大量回収の規模は1860万個だ。 原因は2つあった。 (A) 「米国側が指示した仕様と異なる鉛入りの塗料を中国の下請塗装業者が勝手に使用」 (B) 「米国側の指示どおりに着脱可能な設計の小型磁石が使われていて、その磁石をのむと胃腸がやられるおそれ」 8月16日の『ウォールストリート・ジャーナル』社説(題して Toy Story)を読んで知ったのだけど、じつは問題の回収玩具の97%は(B)が原因なのだそうだ。 米国側の設計・発注指示ミスが原因なので、これは中国リスクには分類できない。 ≪かりにこの玩具が米国で製造されたとしても同じ問題が起きていたろう≫とウォールストリート・ジャーナル紙は書き、 中国製の玩具だけを特別扱いして輸入時の検査を法令で強化しようという一部の米国・民主党議員の考えは行き過ぎだと言っている。 「市場原理に任せよ」がウォールストリート・ジャーナル紙の基調なのでそれに沿った論評だ。 結果的に中国を“擁護”する筆致になった。 これまでも似たようなケースで「中国品締め出しを狙った中国叩き」をいさめて市場原理優先を唱えるのが同紙だったから、今回の Toy Story 社説がマードック氏による同紙買収の影響によるものでないとは思うけど……。 いっぽう、(A)の「鉛入り塗料」のほうは 典型的「中国リスク」のケースだ。 塗装を請け負った下請業者の経営者は8月11日に自殺した(日経の8月15日記事)。 この下請業者の名が日経には報じられていないが、しらべたら「紅利大」Hong Li Daという会社。 「紅利大」とは「もうけがでかい」という意味で、たしかに社名どおり振舞ったのだろうが、情けない皮肉だ。 マテル社は中国の工場で加工組立工程を行わせる米国企業の草分けで、プロが揃っていたろうに。 今回の失敗例に接すると、海外投資と輸出入で食う企業で働くものとしては「安物買いのゼニ失いだろ」とひとごとのように笑うわけにはいかない。 品質管理の手法にどう磨きをかけるのか、教訓を学び取りたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 21, 2007 08:53:27 AM
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