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Mar 20, 2008
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テーマ:中国&台湾(3305)
カテゴリ:中 国 界
チベット「自治区」という語が語義どおりであれば暴動はなかった。

「自治」がない不幸。

 中国共産党チベット自治区委員会書記の張慶黎(ちょう・けいれい)氏について3月18日の配信コラムに書いたとき、「自治区」の3文字が苦しそうに きしんだ。


■ あまりに稚拙な統治手法 ■


「共産党はチベット人民にとって親のようなものだから、子らが何を必要としているか常に心をくだいている。

共産党中央委員会こそがチベット人民のための真の仏陀である」

 昨年この張慶黎(ちょう・けいれい)党委書記はこう言ってのけたらしい。
 この厚顔無恥には評する言葉がない。

 3月18日の『ニューヨーク・タイムズ』紙がコロンビア大学のチベット専門 Robert Barnett 氏の話を伝えている。

 漢人によるチベット支配の頭目である張慶黎書記は強硬路線で、チベットの政府機関で働く者はみな、ダライ・ラマを糾弾する文章を定期的に書かされる。

 チベットの学生・生徒や政府機関で働く者は、寺院に行くことも禁じられ、宗教儀式や祭礼に集うことも許されない。

 平成18年から張慶黎氏は「反ダライ・ラマ」キャンペーンを復活させ、僧院での「愛国教育」を強化。

 僧たちは、チベットの歴史を漢人の立場から講釈する長々とした会合に出席せねばならず、ダライ・ラマを糾弾する言葉を口にせねばならぬ。


 あきれる他ない。

 まともな統治を行うなら、まずは身近のチベット人官僚・スタッフの心を掌握し、社会の権威である僧たちを味方につけるのが基本というものだが、張慶黎氏の統治手法はあまりに稚拙だ。

 道に外れた傲岸ぶりに報いのなかろうはずがない。


■ ダライ・ラマの意思を曲げて伝えて非難する非 ■


 ダライ・ラマは既に1970年代に「チベット独立」というスローガンは取り下げて「ほんらいの意味の自治」を求めてきた。

 ここ数年は、穏便な協議のための密使を北京へ何度も送っているのだが、北京政権はこれをいい加減にあしらう。

 そして、あろうことか「ダライ・ラマはチベット独立を叫んでいる」と中国国民むけにウソ報道をしつづけるのが共産党のやり方だ。

 要はただ、72歳のダライ・ラマの生命が尽きるのを待っているのだ。

 チベット人のなかでは穏健派に属するダライ・ラマが存命のうちにチベット統治の枠組みの改善を図って次の世代に託したほうが、ほんとうは漢人のためにもなる。

 いまのダライ・ラマ14世が亡くなれば、チベット独立の声を内側から制することのできる権威は存在しない。

 燃える独立運動は、現今のチベット自治区のみでは満足せず、四川省の西半分や青海省も「独立チベット」の領域なりという声が主流となり、先鋭化しかねない。


■ 北京は何から改善すべきか ■


 3月17日の『ウォールストリート・ジャーナル』紙が社説で中国共産党のために処方箋を書いている。


≪北京政権がラサ統治を改善するためにできることは多い。

まずは、チベット人に宗教の自由な行使を許すところから始めればよい。

漢人のチベット移住に補助金を出すのを止め、チベットの遊牧民を強制定住させることも止めれば、歓迎されるはずだ。

ダライ・ラマとの対話にももっと真剣に取り組めば得るところがあろう。
いまのダライ・ラマが亡くなったら、その後継者が同じく穏健である保証はどこにもないのだ。

オリンピックは中国の進歩の姿を世界に示す場であるはずだった。

しかし、北京政府が統治不服従を恐れ強権的な過剰反応をしたため、中国が天安門事件以来ほとんど変わっていないことを世界に見せつける結果となった。≫


■ 福田康夫首相は ■


 胡錦濤主席が来日したら、わが首相は例によって飄々と迎えるのであろうが、諷刺の刃を十分研ぎ澄ましておいてほしい。

 間違っても、にこにこ笑って握手しているところをAP通信やロイター通信の記者に撮られないことである。


 北京にとって絶対譲れぬ一線は、チベットに中国以外の国の軍隊が駐屯することを許さない、ということのはず。

 しかし目下の稚拙な強権統治が続き、チベット人弾圧が暴走するなら、何らかの枠組みで第三国の軍隊が平和維持のために駐屯することも必要となる。

 必要があっても、とうぶん実現はしないだろうが。





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最終更新日  Mar 20, 2008 10:20:04 PM
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