カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
「大地の子」の上川隆也さん目当てで金曜夜のサンシャイン劇場へ行った。
当日券があるはずと高をくくっていたら、残っていたのは通路に座布団を敷いて見るスーパー補助席だった。 演劇集団キャラメルボックス、侮るべからず。 劇場ロビーでDVDや関連グッズを売っているスタッフたちも、すがすがしい勢いがあった。 幕間に、劇の進行に合わせた瓦版(売価100円)まで売ってしまう遊び心も粋だ↓ キャラメルボックスは昭和60年発足で、これまで72本の劇をやり、作ったDVDが60本。 サポーターズ・クラブ会員が、全国で1万6千人あまり。 若い夢と志を、しっかりしたマーケティングのちからが支えている。 ドラマは時間旅行ものだが、梶尾真治・原作の設定が絶妙。 きっかり39年前の同じ場所へしかワープできない。 「時間」は39年周期の螺旋を描いているので、今いるところからひとつ別の渦に飛び移ると39年前に行けるが、それ以外の時間へは行けない。 上川隆也さん扮する秋沢里志は、自分が心から愛した人にあることを伝え、あるものを渡すために、試作したばかりの時間旅行器で39年前の昭和45年へ向う。 愛した人を産むことになる女性がまだ結婚もしていない昭和45年へ。 そして里志は、自分が闖入したことで狂いはじめる過去を懸命に修整しなおしながら、かつて愛した人との再会のために、一途に39年の歳月を待ち続ける。 ひとを慕い思う気持ちを濃縮・純化させるプロット。 第2幕後半にくると、舞台の引力で客席のそこここで鼻をすする音がした。 観劇パンフレットにある座談会録で、劇団の顔で最多出演者の西川浩幸さん(昭和39年生まれ)が言っている。 ≪なぜ劇団にいて舞台をやっているかといえば、自分の周りにいる人が楽しそうにやっているのを見たい、というのがいちばんですね。 自分の役は与えられたものとしてもちろん喜んでやりますけど、その自分の喜びよりも、周りにいる人たちがすごく楽しそうだったら、そのことのほうがもっと嬉しくて。≫ なんと、できたひとだろう。この感覚が、キャラメルボックス・ワールドの元気を生んでいるんだろう。 「もし時空を超えられるとしたら」、上川隆也さんの答えも、ぼくのツボにはまった。 ≪最近面白い本を見つけて。 GHQが日本を占領した時に、日本人がまだ持っていなかったカラーフィルムで日本を撮っているんですね。 僕らが知っている戦後のニュース映像とか記録写真って、全部白黒かセピアなんですよ。 そのせいか何故か日本人の終戦直後がとても寂しく見える。 でも、GHQが撮った写真を見ると、(日本人が)とても活き活き生きているんですよ。 終戦直後にもかかわらず、お神輿を担いで祭りをやっている。 その周りには色とりどりの飾り付けがあったりして。 全然いまと変わらない人々の生活がそこにあるんですね。 こういうものを見ると、他の時代も見たくなるんですよね。 明治時代の鹿鳴館って、どんなに絢爛だったんだろう?とか。≫ ふつつかながら小生も演劇集団キャラメルボックスのサポーターズ・クラブに入会し、応援用の赤い小旗と劇団公式ガイドブックをおみやげにもらったのでした。 満足! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Mar 26, 2008 07:15:03 PM
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