「王子が初めて友情を抱いた青年は……
男? 女? 王子? 王女? ホントはどっち?!
なんと、プリンセスだった!?」
という勘違い物語だけれど、
そもそも、演出の小池修一郎氏はとんでもない勘違いをしていないか。
主役かつ集客力の中心となった女優扮する「青年に化けた姫」といい、道化役の庭師といい、オーヴァーアクションがすぎてまるでファミリー・ミュージカルだ。
ハローキティやバッドばつ丸が乱入してきても不思議ではない出来ばえである。
シモネタもあるからご家族で見るわけにはいかないオトナ向けコメディーだが、どう匙加減を間違えてこうなったのか。
さすがにヴェテランの藤木孝さんと杜(もり)けあきさんが脇を固めて、とくに第2幕には鑑賞に堪えるしみじみしたナンバーもあった。
主演の女優より、助演の瀬戸カトリーヌさんのほうが歌もよほどうまく、演技もまとも。
主演の女優はときに音程がはずれ、声質がじゃじゃ馬のように落ちることがあった。帝劇ならアンサンブルにも加われまい。
主演男優の演技もぎこちなかった。
2年前からひと月にほぼ2作のペースでミュージカルを見てきたが、そのなかでも最低の出来。
めずらしくパンフレットも買わなかった。
(4月14日まで天王洲・銀河劇場で。そのあと4月17~18日に兵庫県立藝術文化センターでも公演予定。)