カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
5月14日の夜の部、2度目のミュージカル「レベッカ」を観た。
演技も歌も磨きがかかっていて、ぼくも臨界点を超えっぱなし。 家に戻ってからドイツ語版のCDを5回も聴いてしまった。 前回の感想は 4月29日のブログ に書いた。 今回は、観ているぼくもひとつひとつのことばを味わう余裕ができた。 一見して無表情の悪役ダンヴァース夫人(シルビア・グラブさんが名演)の目もと口もとがストーリーを語っているのも見逃さなかった。 とくに第1幕最後に高みに立って 「レベ~ッカ~」 を歌うシルビアさんの、してやったりという笑みを無表情の膜が覆う容子(ようす)は、名役者ここにあり。 このミュージカルでいちばん好きなナンバー、第2幕の 「凍りつく微笑み」。 歌い演ずる山口祐一郎さん、前回観たときは歌詞の意味への思いが勝ちすぎたのか、ことばがときに音符を離れて浮遊していた。 (「音がはずれてた」なんて失礼なことは言いません。 魔王はつねに正しいのであります。) 5月14日の夜の部では、曲とことばと思いがしっくりひとつになって、マキシム・ド・ウィンター氏の扮装の向こうに魔王が見えました。 大塚ちひろさんの主演する「わたし」。 第2幕にマキシムから秘密を告白されたあと、存在すべてがマキシムへの深い愛に満たされたときに生まれる強さ。 ひとを愛することによって強さが生まれる。 なんとまことの愛のかたちだろう。 その強くなった「わたし」がダンヴァース夫人と張り合いながら二重唱するナンバー 「それは私よ」 (原題 Mrs. de Winter Bin Ich 「ド・ウィンター夫人はわたし」)は、掛け合いの躍動感でミュージカルの醍醐味を味わわせてくれる。 役者さんたちのなかでとりわけ藝が細かいのが、心やさしい執事フランクを演じる石川 禅さん。 所作も細やかだが、沈黙しているときも存分に気を発散させている。 第1幕後半のナンバー 「誠実さと信頼」 (原題 Ehrlichkeit und Vertrauen)も、力強さを増したような気がする。 アンサンブルの皆さんも、切れがいい。 ぼくが好きなのは中村友里子さん。仮装舞踏会の彼女は、ペルシャの舞姫です。 公演は東京日比谷のシアタークリエで6月30日まで。 あと1回くらい行きそう。 5月14日も、幸運にも14列目の当日券をゲットできました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 17, 2008 03:51:34 PM
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