テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:中 国 界
NHK総合、土曜夜9時の6回連続ドラマ 「遥かなる絆」。
第1回を見ていないが、第2回・第3回をはらはらしながら見た限りは、誠実な姿勢で制作されているように見える。 かつての 「大地の子」 のような骨太さがある。 第2回で主人公の娘、城戸久枝(きど・ひさえ)さんが吉林大学に留学中、クラスで吊し上げに遭う場面があった。 日本の経済発展に授業が及び、ひとりの学生が 「中国を侵略しながら謝罪もしない日本が、中国より経済的に繁栄するのが許せない」 と言い出し、クラスは付和雷同モードとなる。 「そう言えば、きみは日本の留学生だったな。日本ではろくに歴史を教えていないだろう。きみは何をどう学んだか、言ってみろ」 と同級生らが久枝さんに人民裁判の矢を向ける。 当時まだ中国語が流暢でなかった久枝さんは “大家安静一下。請慢慢説。” (静かにして。早口で言わないで) と応えるのが精一杯だった。 かりにNHKが原作者なら、安易にここで久枝さんに土下座させたであろう。 ドラマを生んだ、昭和51年 愛媛県生まれの城戸久枝さんのノンフィクション 『あの戦争から遠く離れて ―― 私につながる歴史をたどる旅』 (発行・情報センター出版局) の持つちからを浴びたくなって、きのう第3回を見たあとアマゾンで注文した。 アマゾンの自動マーケティングシステムはさっそく、ドラマの主人公である城戸 幹(きど・かん)さん (日本人名が判明するまでは“孫玉福”として育つ) の本をも関連書として紹介してくれた。 『「孫玉福」39年目の真実 ―― あの戦争から遠く離れて 外伝』 (発行・情報センター出版局) きのうのドラマ第3回は、文化大革命の動乱時代の直前で終わった。 このドラマの制作ぶりで感心させられるのは、登場する中国人たちのそれぞれの人間性がふくよかに伝わってくることだ。 わたしの記憶のなかにある中国製テレビドラマのなかのぶっきら棒な中国人像ではなく、むしろ日本製ドラマのノウハウの最大限を中国語環境で生かしきっている、そんな印象を受ける。 * 付和雷同モードの中国人に対抗するための会話本を、痴呆症になる前に出しておきたい。 たとえば、中国人に言いたい放題を言われたときに言い返す開口一番は “這是 ni 説的。” 直訳すれば 「それは、あなたが言っていることだ」。 つまり 「おまえが勝手に言っているだけじゃないか」 「もういっぺん言ってみろ」 といったニュアンスを帯びる。 天安門事件も中越戦争も文化大革命も、そしてもちろん現在進行形のチベット文明破壊も、正面から見据えることができない中国。 その言い分など、いったん論争を始めれば怖くない。 しかし、決裂するのは至極簡単で、短期決戦で相手をぐっと黙らせるのは難しい。 そういう言葉の殺陣(たて)の術を考える本を、城戸久枝さんのような人の助けも借りながら編んでみたいものだ。 破壊的でない喧嘩の術こそが、日本と中国の友好への大きな貢献になるものと信じる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[中 国 界] カテゴリの最新記事
|
|