カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
ぼくは駒田 一(はじめ)さんの大ファンだ。
「ダンス オブ ヴァンパイア」 の、吸血鬼伯爵に仕えるせむし男のクコール役。ほとんどセリフがないのに凄みある存在感。 幕間にモップをもって舞台掃除をしつつ、日替わりのアドリブで楽しませてくれて、クコール像が膨らんだ。天下の帝劇のアイドルでした。 「レ・ミゼラブル」 の、酒場の俗悪亭主テナルディエ役も、手品のあざやかな手さばきも交えて、人間味、厚塗りだった。 その駒田 一さんが主演のミュージカルということで、平成20年の日本初演はとても気になっていたけど、行きそびれた 「サ・ビ・タ」。 シアタートラムでの初演のビラ (平20/7/26~8/17) 本多劇場での再演に、4月3日に行った。初演と同じ配役だ。 ラッキーなことに、韓国原作版の作曲家チェ・ギソプ、作詞家チェ・ミョンソプのお二人も来ておられて、カーテンコールで感想を話してくれた。 今回の再演のビラ ミュージカルとはいえ、セリフの部分だけでストーリーが十分に成立する。歌詞にはストーリーを語る役割を与えておらず、その意味ではむしろ 「音楽劇」 と言ったほうがいいのかもしれない。 誕生日の夕食会を楽しみにしていたのに、ふたりの妹に体(てい)よくすっぽかされた中年の主人公 (駒田 一さん)。 そこに登場する、長らく音信不通だった不出来な弟 (山崎育三郎さん)。 部屋を間違えてやってきた 「悩殺サービス」 会社のひたすら明るいピチピチ娘 (原田夏希さん)。 この3人だけの配役。マンションの一室で演じ続ける。そとは雨。 原題の Sarang un pi rul thago は 「愛は雨に乗って」。 中年男と弟のそれぞれの傷が明らかになり、やがてピアノの連弾とともに部屋の熊のぬいぐるみも踊りだし、空には虹がかかる。 * カーテンコールで、駒田 一さん: 「1年半前に本邦初演をやって、今回は各地をまわってから本多劇場で。こうして毎回すばらしい拍手に力をいただいてきました」 山崎育三郎さん: 「3年前にソウルで観たとき、客席と舞台のあいだでキャッチボールをするような、舞台と客席の距離がとても近いミュージカルで、ぜひ、やれたらいいなと思っていました」 原田夏希さん: 「家族愛とか兄弟愛がテーマになっています。あらためて家族のことを考えるきっかけになればと思います」 原作版の作曲家 チェ・ギソプさん 「日本スタイルの サ・ビ・タ の誕生だと思います」 原作版の作詞家 チェ・ミョンソプさん 「繊細なセンスでつくられた舞台、味のある演技に、感銘を受けました」 劇中、駒田さんはどじょう汁の作り方の歌を歌いながら客席に降りて、前のほうの席の女性の髪をひょいひょい持ち上げて、材料を混ぜる歌詞のところで髪をぐしゃぐしゃにするし、 山崎さんは2ヶ月履いたままで激臭をはなつ (という想定の) 靴下で足の裏をこすったあと、別の女性の席にひょいと投げて、舞台に投げ返してもらうし、 たっぷり楽しめた劇でした。 髪ぐしゃぐしゃと靴下ホイ! に協力してくれた客席の女性には、韓国海苔のセットが贈られましたよ。 また見たい、「サ・ビ・タ」 です。 (昨日4月4日が本多劇場の千穐楽でした。今回は2月から、富山、千葉、名古屋、福岡、長野、岡山を回ってからの東京・下北沢公演でありました。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Apr 5, 2010 08:23:48 AM
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