テーマ:中国&台湾(3305)
カテゴリ:中 国 界
中国共産党は、中国内陸部の成都、鄭州、西安で反日デモを起こした。
10月16日のこと。 北京や上海をちゃんとはずしているあたりが、藝が細かいですな。 おかげで、「頑張れ日本! 全国行動委員会」 (会長・田母神俊雄さん) が組織した16日の対中抗議デモについての報道規制を産経新聞はようやく解いて、10月17日号の1面に写真入りで報じた。 ( 【注】 同じ抗議デモが10月2日に行われたとき、AFPなど外電が報じたのに日本の大手メディアは産経も含め、そろって黙殺した。) ■ 日本の出来事が、国際面でようやく読める時代 ■ ところが日本経済新聞は、「頑張れ日本! 全国行動委員会」 の抗議デモについての報道規制を解かなかった。 すると、まるで共産主義国家の新聞のような、おかしなことになった。 10月17日の日経朝刊では、社会面にも政治面にも対中抗議デモのことは報じられていない。それなのに、国際面の北京・佐藤 賢 記者の記事にいきなり、日本での対中抗議デモのことが出てくる。 ≪中国政府は……(中略)……東京での対中抗議行動に懸念を示す外務省談話を発表し、中国に厳しい姿勢を取る日本の政治家や団体を牽制した格好。≫ ≪中国国営の新華社は……(中略)……東京での対中抗議行動の主催者を 「右翼」 と断じ、反日デモのきっかけは日本側の動きとの立場をにじませた。≫ ■ 中国異質論についての秀逸の論評 ■ インターネットで日常的にニュースをフォローしている人なら、「頑張れ日本!」 の抗議デモのことは知っている。新聞もテレビも見ない、うちの美大生の娘が知っていたくらいだ。 しかし、日本経済新聞しか読んでいない人が仮にいたとしたら、びっくりしただろうね。 だってね、日本の新聞の政治面にも社会面にも書いていない日本の出来事を、忠良なる日経読者諸氏は、中国外務省 (外交部) の談話や新華社の論評に関する北京発の記事を読んではじめて知るわけですよ。 これって、共産主義国家にありがちなことだね。それとも、昭和10年代? 報道が落ちぶれるとは、こういうことを言うのだな。 * * * 丸紅の米国法人のワシントン事務所長・今村 卓 さんが、秀逸の報告をまとめています。 「尖閣沖衝突事件から浮上した中国異質論」 全文をお読みになることをお奨めしますが、さわりを抜粋してご紹介しましょう。 わたしと同じ商社マンが、こういう報告をまとめ、会社として公開していることを、わたしは誇りに思います。 日本へのレアアースの事実上の禁輸。 ≪このような中国の反応が米国の違和感と関心を招いた。……(中略)…… 米国の常識では、尖閣諸島沖衝突と船長逮捕への対応策としては、取り得ない手段だからである。≫ ■ 四半世紀の努力を自ら否定する行為 ■ ≪中国は、尖閣沖衝突の前から一部のレアアースを含む素材の輸出規制について、米国、EUとメキシコからWTOに提訴されていた。……(中略)…… つまり中国は、レアアースの輸出制限がWTO協定に違反する可能性が高いことを認識した上で、日本という特定国に対する禁輸という さ ら に 過 激 な 措 置を選んだことになる。≫ ≪特定国に対する一方的な禁輸は、WTO協定違反というレベルの問題ではない。 世 界 経 済 の 安 定 の 前 提 で あ る 自 由 貿 易 体 制 に 背 を 向 け る 行 為である。≫ ≪共産党一党独裁という特異な政治体制を続ける中国が孤立を避けられたのも、経済は他の民主主義の国々と共通する市場経済と自由貿易体制という枠組みを堅持してきたからであり、……(中略)…… 自 由 貿 易 体 制 の 恩 恵 を 最 大 に 享 受 し て き た 中 国 が、船長を逮捕した日本への対抗策として、これまでの四半世紀の努力を自ら否定しかねない禁輸を 簡 単 に 選んだ。 どう考えても、禁 輸 の 代 償 は あ ま り に 重 く、船長の釈放や尖閣諸島の海洋権益の獲得への前進という求める成果とは釣り合わない。 この中国政府の政策判断は、米国の識者やメディアにとっては驚きであり、中国政府の価値判断の基準がどこにあるのかが分からなくなって戸惑ったのである。≫ ■「領土問題」の有無 ■ ここで泉の解説を少々。 中国の書店にはかねてより、 戦争というのは単にミサイルを撃ち合うことを言うのではなく、スパイ行為やサイバーテロにはじまり貿易制限や資産没収など多面的に展開するものだ、と大っぴらに述べた本が並んでいます。 (わたしも読みましたが、けっこう気が滅入るものです。) 今回のレアアースの事実上の禁輸はその一環であり、中国政府としては将棋の歩でも動かすような気分だったでしょう。 ところが、政治をロジック (論理) の世界でとらえる米国の幻想好きなエリート層は、 「中国がやったのは <自己否定> 行為じゃないかよ!」 と、驚いちゃうわけですね。 * さて、 条件交渉もせずに暴力船長を釈放したのには、わたしもあきれました。 商社の仕事で言えば、 支払い保証状(L/C)が届かないうちに、貨物を船積みするようなものじゃないか。 ところが米国政府や米系メディアは 「正しい決定」 「賢明な対応」 という見解で一致している、と丸紅の今村 卓さんは指摘します。 日米の見解がこれほど大きく乖離するのは、なぜか。 尖閣諸島に 「領土問題」 はないという日本の立場と、「領土問題」 になってしまっているという米国の認識とに、落差があるからではないか、というのが今村さんの分析で、これがまた示唆に富んでいるので、今度また取り上げます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 18, 2010 12:21:34 AM
コメント(0) | コメントを書く
[中 国 界] カテゴリの最新記事
|
|