カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
「プライド」 祭りの12月でした。12月1日の初日から19日の千穐楽までシアタークリエで4公演を観劇しました。
演劇 + 笹本玲奈・新妻聖子コンサートイベント と言ってもいい、贅沢でしかも心ゆさぶる舞台でした。 笹本玲奈・新妻聖子の対談が、産経 WEB に掲載されています: 大石静脚本のドロドロ愛憎劇を 「コテコテに!」 新妻聖子&笹本玲奈 初日の舞台挨拶で新妻さんが 「本日は、世界初演の 『プライド』 です。……世界初演、ってずいぶん大きく出ちゃったでしょ! 海外で上演されてもいい作品だと、思いませんか」 と、心はなやいで語っていました。 この音楽劇、俳優は4人で、セットも簡素。女優ふたりには飛び切りの歌唱力が要求されますが、舞台にかけやすい。 海外版初演は台湾でプロデュースして、中国語で台北・台中・高雄で公演、というのはどうでしょう。もちろん、俳優は台湾人という前提です。 ストーリーから言って、日本か台湾、韓国あたりの話にせざるをえない。アジア人のヨーロッパ留学というのがプロットの核になる部分ですから。 シアタークリエ前の看板 ミュージカルではなく、音楽劇。心に沁みる歌が、ストーリーに巧みに織り込まれて登場しますが、セリフを歌うわけではないから、ストレートプレイ + 歌 = 音楽劇 なのです。 笹本玲奈さんの「愛の讃歌」と White Christmas. 新妻聖子さんの「島唄」「故郷(ふるさと)」。 ふたりのデュエットの Wind Beneath My Wings は、千穐楽のアンコール曲になりました。 そして、この作品のオリジナル曲 Invocation と Life も忘れられない。ぜひ CD にしてもらいたいものです。 4回の観劇の感想をブログのメモから転記すると: 12月1日: お芝居とライブコンサートを二重で楽しめる贅沢。初日挨拶もあり、満足です。期待を上回る出来でした。佐々木喜英さんのナチュラルな演技に舌を巻いた。力のある男優さん。 12月5日: 新妻さんが、時を経たワインのように花開いた。初日には悪役一辺倒だった冒頭部分に人間味が増した。「ふるさと」 の絶唱に深い感動を得た。笹本さんの White Christmas が一段とよくなっていた。でも、ストレートプレイはまだ固さがある。演じている役と笹本玲奈が別の存在であることを陰に陽に主張している感じがぬぐえない。鈴木一真さんの終局の感情移入に確実な進境あり。 12月14日: 笹本さんの演技にようやく丸みが出て、役と玲奈がひとつになった。新妻さんも演技の緩急のメリハリが一段とついて、才能が存分に開花。新たないのちに捧げる後半のオリジナル曲 "Life" が心と脳に沁みた。連日の上演で、古典曲の歌唱は高音がやや苦しそう。NHK の録画カメラが2台入っていたが、風邪で咳をする人多し。 12月19日: 千穐楽公演。観劇4度目となると、歌よりもセリフが心に沁みた。スタンディング・オヴェーションが収まらず、最後はアンコール曲として第1幕のデュエットを2人に歌ってもらえた。12月の 「プライド祭り」 これにて仕舞。 劇場アイドルのクリエちゃんも 「プライド」 ヴァージョンです 千穐楽の舞台挨拶を再録しましょう。 佐々木喜英(よしひで)さん: 「ふりかえれば、3時間 × 25公演。ぼくはストーリーの上では愛するひとを奪われるだけという一番の被害者なので (笑) 、毎回とてもハードでしたが、3人の大先輩たちに支えられて無事に舞台をつとめることができました」 笹本玲奈さん: 「毎舞台、はげしく責められる役で身が縮む思いでした (笑) 。ダンスもないし動きの少ない劇で、疲れないだろうと思われがちなんですが、今までにないとてもハードな公演でした。 観ていただいたお客さま、演奏の皆さん、そしてここにいる3人とこうして共に演じられたことを誇りに思います。」 笹本さんは初日挨拶では新妻さんと初の共演ができたことを深いよろこびをこめて熱く語っていました。 鈴木一真(かずま)さん: 「制作発表会のとき、『年長者として若い3人を支えてひっぱっていく』 みたいなことを言ってしまったのですが、いま思うと恥ずかしくて。 じつは、ぼくだけ別の仕事が入ってしまって練習の前半はほとんど参加できず、毎日お菓子の差し入れとか打ち上げの場所の予約しかできませんでした (笑) 。たいへんな迷惑をかけてしまいました。 プログラムの自己紹介に 「音楽の力を感じたあの瞬間」 という欄があって、そこにぼくはじつにつまらないことを書いているのですが、今はっきりと、この 『プライド』 こそぼくのベストの音楽体験だったと断言します。 練習でふたりが歌うのを聞きながら、何度も涙を流しました。公演中でも気をゆるしていると涙が出てきてしまうので、そうならないようにダースベーダーの曲を頭のなかに流していました (笑) 。 音楽が好きだった父は2年前に亡くなってしまったんですが、もしこの舞台を見せてあげられたらどんなに喜んだか。でも、母はきょう客席で見ていてくれてます。ぼくを、生んでくれて、ほんとうにありがとう!」 新妻聖子さん: 「19日間、25公演、まっくろな萌役をやらせていただきました。案外楽しみながら演じていたんですが、でも人をののしったりするシーンはとってもエネルギーをつかうんです。 今回は、オペラの場面を吹き替えなしで女優が歌ってしまうというのもひとつの試みで、いろんなことにトライした舞台でした。 支えてくださった皆さま、ほんとうに、ありがとうございました」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Dec 21, 2010 12:18:42 AM
コメント(0) | コメントを書く
[映画・演劇(とりわけミュージカル)評] カテゴリの最新記事
|
|