カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
奈良時代末期から平安時代初期、大和朝廷軍の坂上(さかのうえの)田村麻呂を迎え撃つ東北の民を率いるアテルイ。
ぼくが学校で日本史を習ったころアテルイの名は語られず、もっぱら征夷大将軍・田村麻呂に光があたっていた。いまはその反動もあって蝦夷(えみし)のアテルイは、アイヌのシャクシャインと並んで注目される先住民ヒーローだ。 そのアテルイにまつわる人間模様を描く。 舞台を観ながら、シラノ・ド・ベルジュラックを重ね合わせていた。 洋楽ミュージカルの楽しみに加えて、舞台両翼で連打する勇壮な和太鼓と、習練を積んだ剣舞・殺陣がきりりとして、ひと晩でふた粒、三粒の楽しみだ。 原作の高橋克彦 『火怨』 (平成12年に第34回吉川英治文学賞を受賞) は、アテルイが坂上田村麻呂と竹馬の友であったとの設定。 (史実である必要はないが、まさかひょっとして?) これを原作とした わらび座ミュージカル 「アテルイ」 は、悲劇のなかにもさわやかさが流れる友情と恋のさやあて、けだかい心意気の物語に仕上がっている。 平成16年 『月刊ミュージカル』 誌の作品部門で10位に入り、タキナ役の丸山有子さんは小田島雄志賞を受賞した。(今回、丸山有子さんは別の役で出演。) * この公演のことを知らせてくれたのは、わらび座の看板女優の碓井(うすい)涼子さんでした。 碓井さんとのご縁は、愛媛県松山市近郊の坊っちゃん劇場で碓井さん主演のミュージカル 「鶴姫伝説 ―瀬戸内のジャンヌ・ダルク―」 を観たのがはじまりですが。 碓井さんのことをぼくは 「わらび座の新妻聖子」 と呼んでいます。 昨年夏から碓井さんは、わらび座ではミュージカル 「おもひでぽろぽろ」 で主演・タエ子の役で活躍していて、今年にはいってはミュージカル 「アトム」 の地方巡業に加わっています。 ぼくが新宿文化センターに 「アテルイ」 を観に行った2月23日は 「アトム」公演のない日で、なんと碓井さんと客席ホールでお会いできました。 「アテルイには出ないので、裏方でみんなの舞台衣装のお洗濯をしています」 と話す碓井さんでした。 「アテルイ」 の 新宿文化センター 公演は、あと3回。 きょう2月25日 (土) が13時と17時半開演、あす2月26日 (日) が13時開演。 長年の習練で完成度の高い舞台に仕上がっています。当日券もあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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