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Mar 7, 2012
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平成22年12月以来1年と3ヶ月、地元・足立区の劇団 「ドラマランド七味とんがらし」 に所属して指導を受けてきたのですが、わたしの演劇愛の哲学が主宰と相容れず、3月6日に脱退しました。

主宰の山下光治・山下芳子ご夫妻には、ことばに張りをもたせるにはどうすればいいのか、演劇ならではのからだの動かし方など、多くのことを教わりました。
ほとんど無料奉仕で、芝居のパワーの湧きどころを教えていただいたこと、心から感謝しております。

気さくな劇団員たちは50~60代の女性が主で、それぞれに一藝に秀でた、しっかりとした持ち味のある人たちでした。よきカンパニーだったと思います。

平成23年には足立区の公共施設で
5月3日 演劇 「隣人たち」 (ナチスの大佐役で出演)
10月9日 ポエムとマイムのパフォーマンス
11月29日 ぴりからナイト (詩や歌のパフォーマンス)
と、3つのイベントに出させてもらいました。まことに商社マンらしからぬ贅沢をさせてもらったわけです。

昨年末からは、4月21日の上演にむけて演劇 「あけぼの荘の人びと」 の練習を毎週火曜日夜に続けていたわけですが、わたしと主宰との決定的な対立は未就学児の入場を制限するかどうかという点だったのですね。


<泉 幸男の主張>

・ 子供向けの演劇ならいざ知らず今回の劇は、意表をついた虚構満載で動きも少なく、大人向けであることが明らか。時間も約1時間と長く、子供の我慢の限界を超える。
幼稚園児以下は入場をご遠慮いただく、要すれば未就学児入場禁止とすべきである。

・ 3月4日の足立区竹ノ塚での狂言公演 (これも山下光治・芳子主宰らがプロデュースした) では、乳幼児の入場制限をしなかったばかりに、乳児1名、幼児2名が上演中に何度も騒ぎ、しかも非常識な親はホールをなかなか出ようとせず乳幼児が騒ぐに任せて、他の観客に大いに迷惑をかけた。

・ 同じことが4月21日にも起こると予想される。
狂言のように伝統的様式に則った演劇は、様式に支えられているがゆえに乳幼児の大騒ぎにも辛うじて堪えられるが、4月21日の出し物は現代喜劇であり、乳幼児に騒がれると観客としては辛い。一気に想像の世界が冷めて白けてしまう。

・ 最上の演劇空間を観客に提供しようとするのが演劇人の基本中の基本であるべきだ。マナーを知らないごく少数の人びとによって大多数の人びとが迷惑を蒙るようなことがあってはならない。

・ 劇場は、演劇を見るマナーを教育する場でもあらねばならぬ。演劇は役者と観客から成り立つのであり、観客のレベルの向上もまた演劇の向上には欠かせぬものである。

・ 乳幼児を連れた親のわがままを許して劇場へ入場させるのは、絶対に受け入れがたい偽善である。


<山下光治・山下芳子さんの主張>

・ 乳幼児の入場制限など、もってのほかである。乳幼児こそ、小中学生や大人にはない感受性をもっており、演劇に反応し共鳴する。我々は乳幼児にこそ演劇を見てほしいと考えている。泉さんの主張は根本的に間違っている。

・ 乳幼児が騒ぐのは、芝居が下手だからだ。所詮、我々の劇は村芝居である。それが嫌なら他の劇団に行けばいい。

・ 乳幼児が騒いでも、周りの人たちが何とかとりなすものである。観客にはいろいろな人たちがいるのであり、乳幼児が騒いでも気にしない人たちもいる。

・ 狂言公演の後、何人もに意見を求めたが、乳幼児の入場制限を求める意見はなかった。(注: 泉のアンケート記述を除いては、ということだろうが。)


わたしは年に50本以上も芝居を見るから、やはり演劇は観る側の立場で考える。客席の迷惑行為が許せないし、よい客席環境を確保するのが興行者側の責任だと強く信じている。

いっぽう、山下主宰らはやはり舞台の上の人なのである。他の人たちの演劇を観客として観ることは少なく、もっぱら演ずる側の人。
客席が多少ざわついても、それに負けるようじゃ演劇人の名折れよと、まぁ、そういう意気だろう。

この差は大きい。

わたしも50代、山下夫妻はさらに年上であり、ともに人生哲学の基本を確立した者どうしだ。その根幹にかかわるところで説得しようとしても無理だ。

しかも、山下夫妻が間違っているわけではない。山下夫妻のような考え方もあってよいのだ。当然ながら、わたしのような考え方があってもよい。
世の中に抽象画も具象画も、ともにあってよいのと同じこと。



3月6日夜に乳幼児入場制限を主宰に提案するとき、提案が受け入れられないなら劇団を脱退しようと覚悟を決めていた。

「足立区の施設を使わせてもらうから入場制限は無理だ」
みたいな反論だったら
「そこをもう一押ししてみませんか」
ということにもなろう。
しかし、乳幼児を入場させること自体に意義を見出していると言われては、哲学の対立は決定的だ。

「いま練習中の劇を降りたら、さすがにご迷惑がかかるでしょうから、劇の公演が終わったら直ちに止めさせていただきます」
と言ったら
「いや、許すよ、止めていいよ」
と主宰の答えがあったので、これさいわいと
「長い間、お世話になりました。皆さん、どうもありがとうございました」
と深く頭を下げて、即座にその場を去った。その日の練習はあと1時間のこっていたが。

劇団 「ドラマランド七味とんがらし」 に二度と近づくことはないだろう。
いまは、うじうじ迷うことなく即座に決断を下せた自分がすがすがしく思える。



わたしの主張の原点は、平成20年4月12日に新国立劇場でミュージカル「SEMPO」を見たときの体験にある。

平成20年4月13日のブログ<必見>「SEMPO 日本のシンドラー杉原千畝物語」 のコメント欄に追記してあるが、こんな状況であった:

≪幼児入場を許した興行主 「ライズ・プロデュース」の不手際

公演じたいはよかったのですが、4月12日夜の部では前から8列目右手に2歳にみたぬ幼児をかかえた女性がいて、とんだ目に遭いました。

公演中、幼児がことばにならぬ声や泣き声を発して、その席から数十メートル離れていたわたしの席にも聞こえました。
千名をこえる劇場ホールに響き渡った。

最初は 「あれ、まさか?」 と思い、
2度目は 「ひょっとして舞台でつかう赤ん坊が楽屋で騒いでるのかね?」と思い、
3度目で主催者への怒りに変わりました。

とにかく幼児を外に出してもらわないと……と思い、まず問題の女性の席の番号を確認。
(この女性は確信犯でしょうから、直接交渉は別のトラブルになる。)

劇場の係に苦情を言うとたらい回しにされ、4人目でプロダクションの 「社長」が登場。

社長は、幼児トラブル発生を全く知らず、
わたしは
「学齢に達しない子供を大人の劇の上演会場に入場を許したのは興行主として非常識。ここに1万円札を上げるから、女性に渡して帰ってもらってほしい」
と言って、1万円札を出しました。(もちろん、1万円札は丁重に返された。)

横で別の観劇者が
「わたしも同感です。いつ泣き出されるかと思うと、クライマックスでも集中できなかった……」

係の女性が来て
「何人ものかたが8列45番の席の方のことで苦情をおっしゃっています」

社長殿が男性社員を連れてホールに入っていったので、それを追うことはせず、さぁてお手並み拝見、と思いましたが……。

けっきょく、きれいごとが勝ったらしく、第2幕でも幼児は2度騒ぎました。

入場料を返し 「(あとで公演のDVDも送るから) とにかく帰宅してほしい」と断固たる処置をとるのが興行主たるもののマナーだったと思います。

なお、新国立劇場は会場を貸しただけで興行そのものへの責任はありません。念のため。(Apr 15, 2008 08:05:47 AM)≫





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最終更新日  Mar 7, 2012 11:43:39 PM
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