テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:中 国 界
きのう発売の 『週刊文春』 10月4日号の中国特集に、わたしのコメントが載っている。ちなみに29ページの2~3段目。
立ち読みではなく、ぜひ買ってお読みください。 ……いちおう、関係箇所をご紹介しますと…… ≪大手総合商社に勤務し、中国駐在経験がある泉幸男氏はこう語る。 「わたしは 『中国商売はつねに1回ぽっきりだと思え』 と20年間言い続けてきました。 政治が親日であろうが反日であろうが、一般大衆が直接目にする最終製品や販売店網は短期間のうちに中国企業にとって代わられるだろうという割り切りも必要です。 長期的に見た日本の強みは、製品内部の基幹部材や特殊素材など、中国企業が国産できないものの輸出に限定されると思います。 日本はそこさえ押さえておけばいいのではないでしょうか。 逆にいえば、地場企業が強くない東南アジアのような市場こそ、中国と違って日本が長く根づくことのできる共存共栄の市場と言えるでしょう」≫ コメントでは、けっして 「中国商売はつねに1回ぽっきりだ」 とは言っていない。そんなことを言ったら、ウソになる。 「つねに1回ぽっきりだと思え」 の最後の3文字を、週刊文春もよく残してくれた。 * 週刊文春のライターさんの取材をうけたのは9月22日、土曜日の午後。新宿の椿屋珈琲店にて。 文藝春秋にお勤めの旧知の編集者が週刊文春に異動してデスクになっていて、わたしをライターに紹介したもの。 2時間くらい話したのだが、参考までにとメールで送られた文案を見て、取材を受けたことを深く後悔した。一瞬、ちからが抜けた。そして、凡庸な まとめ方に激怒した。 ちなみにこんな文案であった。 ≪大手総合商社に勤務し、中国駐在経験がある泉幸男氏はこう語る。 「もう中国ありきの投資はやめて、東南アジアなどに分散投資していくべきです。 中国人は、投資を呼びかける時は 『ウィンウィンでやりましょう』 と調子いい言葉ばかりを並べる。しかし、いざ進出してみると、当局の規制がうるさかったり、ライバルとなる国営企業がすぐに成長してきたりと上手く立ち行かなり撤退するケースも多いのです。 結局、残った合弁企業を通して、日本の技術が中国に移転させられてしまう。 そんな現状も知らずに経営者たちは、『十三億人の市場』 という言葉に囚われ、今回のような暴動のリスクを考慮せず、対中投資を推し進めてきたのです」≫ 勘弁してくれよ、まったく。 「東南アジアに分散投資」 なんて、とっくの昔からやってるじゃないか。俺がお勧め申し上げるようなことじゃない。 「調子いい言葉ばかり並べる」 も、ひどいなぁ。そういう単純化が、俺はいちばん嫌いなんだよ。 バカでも寝言で言えるような凡庸なコメントを、俺の名前で週刊文春に出す気か。 今さら降りると言ったら、これまでたいへんお世話になった編集者に迷惑がかかるので、文案を2つ提示した。 案1: ≪東南アジア諸国とちがい中国は、あらゆる最終製品の製造やビジネスモデルを自国企業完結型でそろえる実力をもった国です。 政治が親日であろうが反日であろうが、一般大衆が直接目にする製品や販売店網は短期間のうちに中国企業にとって代わられるだろうという割り切りも必要です。 わたしは『中国商売はつねに1回ぽっきりだと思え』と20年間言い続けてきました。 長期的に見た日本の強みは、製品内部の基幹部材や特殊素材など、中国企業が国産できないものの輸出に限定されると思います。それでいいのではないでしょうか。 逆にいえば、地場企業が強くない東南アジアのような市場こそ、日本が長く根付くことのできる共存共栄の市場と言えるでしょう≫ これが採用された。週刊文春誌上では、「わたしは『中国商売はつねに1回ぽっきりだと思え』と20年間言い続けてきました」 を最初にもってきていて、この辺の編集の腕は、さすが。 ちなみに、案2: ≪カリフォルニア州に進出したからといって、『米国・カナダ・メキシコ市場にくさびを打った』 などと言い出せばバカにされるでしょう。等身大でものを考えますよね。 ところが、中国となると尺度が狂い、上海に進出しただけで 『中国13億人の市場にくさびを打った』 などと言ってしまうわけです。 実際の中国は、政治や軍事が一枚岩でも、経済市場は省や大都市圏ごとにバラバラです。 『中国市場』 と言わず、『上海市場』 『遼寧省市場』 のように等身大でものを考えていけば、より的確な判断ができると思います≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Sep 28, 2012 07:33:54 AM
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