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Nov 5, 2012
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テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:中 国 界
【10月29日のブログに大幅加筆し、11月5日にメルマガ配信したものです】


 皆さんは、小学校2年生のときのことをどのくらい覚えているだろうか。
 人間は60年前の個人的な体験の詳細をどのくらい再現できるだろうか。

 「歴史を語る」とき、70代の老人が語る8歳時の体験記に、いかほどの史料価値を認めるものだろうか。

■ 1937年には8歳だった ■

 大野敏明さんが10月23日の産経新聞 「from Editor」 欄に 「南京取り立て裁判の怪」 と題して書いている。

≪11月9日に東京地裁で奇妙な裁判が始まる。≫

 老中国人女性が、南京事件についての自分の証言の矛盾を指摘した本の著者と出版社のことを、名誉棄損だと南京の人民法院に訴え、賠償を命じる判決が下りた。

 中国の裁判所は日本で判決を執行することはできないが、
≪この中国人女性は、こともあろうに東京地裁に強制執行を求める訴訟を起こしたのである。≫

≪もし、今回の裁判で中国人女性の訴えが認められると、南京の法院で一方的に下された判決が、日本でも有効とされ執行されるという、とんでもないことになってしまう。≫


■ 仕立てられた “証言” の矛盾 ■

 老女の名は夏淑琴。1929年5月生まれだから、いま83歳だ。
 南京事件のあった1937年には8歳だった。

 訴えられた出版社である 展転社(てんでんしゃ)を支援する会の会長・阿羅健一さんの文章を読むと、ことの経緯がよくわかる。
 同会会報第1号 (10月20日付) から引用する。

≪発端は、夏淑琴という女性が10年以上も前にみずからを 「南京事件の被害者」 と言いだしたことだ。
夏淑琴は度々体験を述べており、また夏淑琴に対する聞き書きもあって、それらには矛盾がある。

松村俊夫氏は著書 『 「南京虐殺」 への大疑問』 のなかで、このような矛盾があるのは、彼女たちの責任でなく、ただそのように仕立てられただけなのであろう、と書いた。
夏淑琴の証言を比較検討すると、当然の表現である。≫


 阿羅さんの文章の全文は、こちらで読める:
http://www.tendensha.co.jp/saiban/241017.html

 もう少し引用を続けよう。

≪すると平成12年11月、夏淑琴は松村俊夫氏を南京の裁判所に訴えると言いだし、平成15年6月、1千万円の損害賠償を求める訴状を南京の裁判所に提出した。

それまで犠牲者だとする中国人が日本の裁判所に訴えることはあったが、中国で訴訟を起こしたのは初めてである。

平成18年6月、南京の裁判所は松村俊夫氏に出廷する召喚状を送ってきた。

日中間に民事訴訟の効力を認める取りきめがなく、松村俊夫氏に応ずる義務はない。
しかし、南京の裁判所は一方的に進め、11月15日、証拠交換を行い、23日には審理を始め、夏淑琴だけが出廷し、即日結審となった。

そして平成18年8月、南京の裁判所は約5百万円の損害賠償を命ずる判決を下した。

それから6年、今回、突然、この損害賠償を強制執行するよう日本の裁判所に訴えでたのである。≫


■ 8歳の子供の証言が重要史料となる、うそっぽさ ■

 広島・長崎への原爆投下が事実かどうかを論じるときに、当時8歳の子供だったひとの60年後の “証言” に頼らざるをえないとしたら、原爆投下の事実は疑わしい。

 実際には、明白な証拠が星の数ほどあるから、当時8歳の子供だったひとの “記憶” に頼ることはありえない。

 この皮膚感覚で、夏淑琴さんの一件をながめたい。

 南京 “虐殺” を論じるために、当時8歳の子供だったひとの60年後の回想を重要史料として採用せざるを得ないのだとしたら、そのこと自体が異常なのである。
 南京 “虐殺” の虚構性を、むしろ裏打ちするものと言える。

■ 独立国でなくなる ■

 夏淑琴さんが要求するごとく、中国の裁判所が言い渡した損害賠償を、日本の司法機関が中国の代理店よろしく強制執行するとしたら?
 それはもう、日本が独立国でなくなったのと同じだ。

 それがもし許されるなら、中国の裁判所は
「尖閣諸島が日本領だと主張して中国13億人の名誉を棄損する日本の国会議員は全員、ひとり1億円の損害賠償または懲役1年の実刑に処する」
と言えばよい。

 日本の司法機関は
「へへぇ、中国さま、合点承知の助左衛門!」
とばかりに、日本の国会議員の大多数の財産を差し押さえ、または刑務所送りにする……ことになる。
 笑止。

■ 老いの涙 ■

 だから、今回の夏淑琴さんの訴えは、いかに東京地裁がゆがんでいようが、門前払いになると信じたい。

 ではなぜ中国共産党は、夏淑琴さんにムリ筋の訴えを起こさせたか。
 さしあたって2つ考えられる。

 夏淑琴側が敗訴したとき、朝日新聞社会面をきっとこんな大見出しが飾るだろう。

≪無常判決に老いの涙
「南京虐殺の真実は曲げられない」≫


 かぎ括弧は便利だ。新聞社が一切の責任を負うことなく、いかなるデマでも大見出しにできる。
 文句が来たら
「いや、これは、単なる引用ですから」
と言うだけのこと。
 おそらく忠良なる読者の過半数は、かぎ括弧の有無に注目することなく、新聞社からのメッセージとして意識下にしまいこむ。

 日本で急速に薬効切れとなっている “南京大虐殺” 説を再補強するには、効果的だ。

■ 行政・立法へ介入する判決傍論 ■

 もう1つ危惧されるのが、最近の裁判官が得意とする 「傍論」 活用だ。

 判決の主文では夏淑琴側の主張を門前払いしつつ、傍論で “南京大虐殺” 肯定論を展開して、
「この視点を国民教育の制度全体に幅広く反映させるとともに、対外政策の拠って立つところとすることが強く望まれる」
などと、司法の分際で立法・行政に介入するコメントをする、あの手法だ。

 傍論は、いわば裁判官の独り言。傍論の妥当性についてのみ上訴する仕組みはない。だって、独り言だから。
 しかし裁判官の独り言は、重みがあると言えば重みがあるから、扇動活動家は重宝する。

■ わたしが中国共産党員だったら ■

 夏淑琴さんのムリ筋の損害賠償請求は却下しつつ、傍論では中国側の主張を宣伝する、そんな判決が出るよう、中国の工作者が暗躍していてもおかしくない。

 わたしがもし本件担当の中国共産党員だったとしたら、何十人もの優秀な工作員を動員して、日本の法曹界とメディアと民主党・社民党への働きかけに全力を挙げるだろう。
 あたりまえのことだけど。





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最終更新日  Nov 5, 2012 08:12:05 AM
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