カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
笹本玲奈さん主演の、バーナード・ショー作 「ジャンヌ」 が9月に世田谷パブリックシアターで上演される。たのしみにしています。
ジャンヌ・ダルクが処刑されたのは、彼女がズボンを履いたからだという話があるらしい。 學士會の第2会報 『U7』 誌の平成25年7月号に、武田佐知子さん (大阪大学大学院文学研究科教授) の講演 「邪馬台国の女王卑弥呼の謎 ~卑弥呼は男装の麗人だった?~」 が掲載されている。こんなくだりがある。 ≪巴御前が男装したなど、日本でも異性装の例がいくつもありますが、女性の男装、あるいは男性の女装は、まったく非難の対象になっていません。 しかしヨーロッパの場合は、例えばジャンヌ・ダルクが異端審問裁判を受け、魔女の烙印を押されて火あぶりになったのは、じつは彼女がズボンをはいたことが問題となったからでした。 宗教裁判で彼女は、 「わたしにズボンをはかせたのは大天使ミカエルの預言だ」 と言い張りますが、カトリック教会側は、 「大天使ミカエルがそんなことを言うはずがない」 と彼女を糾問しました。 最後に 「ここで 『違う』 と言ったら、明日は火あぶりだ」 と言い渡された彼女は怖くなり、 「間違いでした。あれは、大天使ミカエルではなかったかもしれない」 と言って、その日は許されました。 そして、ズボンを脱いでスカートをはきましたが、3日目に司教たちが彼女の牢獄をのぞいてみると、彼女は再びズボンをはいていました。 そのため、もはや何の容赦もなく、翌日に彼女は火あぶりの刑に処されました。 彼女がズボンをはいたという一点で処刑されたことについては、『ジャンヌ・ダルク処刑裁判記録』 という大変信頼性のある史料に明らかにされています。 この史料の刊行は1400年代のことにもかかわらず、ジャンヌ・ダルクについて非常に細かい記録があるので、彼女の処刑の原因がズボンにあったことを、現代のわたしたちも知ることができるのです。 他にもたとえば、1848年頃、アメリカではブルーメリズムという服装改革運動がおこり、長いスカートを切って 下に着たズボン状の衣服をあらわにしました。 またフランスではサンシモニストたちが、完全な男女平等を訴えました。完全な男女平等の社会では、女性もズボンが許されるべきだということで、彼女たちはズボンをはきました。 すると道路交通法が改正され、女性がズボンで大道を歩いてはいけないことになってしまい、女性たちが水をかけられるなど、いろいろな弾圧に遭った例があります。 日本では、女性の男装、あるいは男性の女装が極めて許容的であるのに対し、ヨーロッパ世界はそうではない背景には何があるのでしょうか。 昔、日本では、男性も女性も同じ形の衣服を着ていました。 キモノを思い浮かべてください。キモノは、男性用も女性用も同じ格好です。 基本の衣服が同じ形をしていたことが大きな原因だとわたしは思います。≫ 講演ではその後、卑弥呼男装説が披瀝されて、それはそれでおもしろいのだが、ではヨーロッパで異性装がなぜかくも忌避されたかは解説がない。 どこかでまた調べてみたいテーマですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 10, 2013 09:12:19 AM
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