テーマ:映画館で観た映画(8532)
カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
濱田ここねさんが疾風のように駆けるひたむきなシーンがいちばん好きだ。
かわいがってくれた なか ばあちゃんの危篤を、奉公先の加賀屋のおかみに知らされ、気を張った遠慮の末に加賀屋の娘・加代から すぱんっと後押しされて飛び出すや、駆けに駆ける。 ぼくはNHKの 「おしん」 は ほんの数話しか見ていないから、スジは知らなかった。 NHK版でおしんは、ばあちゃんの死に目に会えるらしい。 映画では死に目に間に合わなかった。映画の長さを調整するために、おばあちゃんとの再会シーンを見切ってしまったのだろう。 ぼくは上戸彩さんに会いたくてこの映画を観た。ほんとにいい役者さんだ。アイドル役も苦労役も両方とも自然にこなせる。 泉ピン子さんの加賀屋の大女将(おおおかみ)は、人間が大きく見えた。甘くも辛くもなく、人間存在そのもので勝負している。 集客力のある稲垣吾郎さんのファンには悪いが、彼はミスキャストだった。都会人の臭いがぬぐいきれなかった。 演技が軽いというわけではなく、本人として精一杯頑張っているのだけど、脂っこさがないというかスマートすぎて、かもしだすものが都会的すぎる。土臭さ、土着感がない。けっきょく自身の21世紀の日常から吹っ切れることができなかった。 NHK版では伊東四朗さんが演じた。そういう役者さんに演じてほしかった。 それにしても、かりに 「おしん」 を観たあとで 「そして父になる」 を観たら、おそらく恵まれた現代の2組の夫婦の悲劇がまったく悲劇と思えないだろう。 “ 「そして父になる」 を観て涙が何度も頬を伝った” 的なコメントをそこここで読むのだけど、ぼくの場合 ついに、悲しみ・哀切の切り口で 「そして父になる」 に入り込むことはできなかった。 さんざん演劇を観て、「おしん」 のような疾風怒濤のほうがスタンダードになってしまうと、「そして父になる」 はリリー・フランキーさん演じる父親像を楽しむほうに行ってしまう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 23, 2013 08:25:59 AM
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