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関本洋司

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2004年09月18日
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カテゴリ:コラム
 『汝の敵、日本を知れ』という1945年に戦争が終わる直前に完成したアメリカの反日プロパガンダ映画があります。「実録第二次世界大戦」という映像シリーズの最後に入っていたので購入して見てみました(映像シリーズでのタイトルは『アメリカの敵、日本』)。

 監督のヨリス・イヴェンスとフランク・キャプラの最良の仕事とは言えませんが、それでも日本の権力構造を図解したシーンなどはよく出来ていたと思います。後半ラストの米軍礼讃は、一元主義への批判が一元的になってしまう典型で稚拙なものでしたが、この部分は改変されたものだという説もあります。封建時代を描いた多くの映像が日本の時代劇映画から取られており、はからずも日本映画の第一期黄金時代を振り返る映画体験となりました。ドナルド・キーンなどが実例ですが、戦争が日本研究者を生んだという話もこの映画を見れば頷けますし、当時の日本が自分の敵を研究しようとしなかったというアメリカと正反対の態度にも考えさせられるものがありました。

 映画の題名は見終わってみると、「汝の敵、日本軍国主義を知れ」の方がしっくり来ます。石油輸出禁止という戦争の原因の分析や、国家神道と民間神道を分ける視点が必要だとは思いますが、この映画は1時間という枠でコンパクトに日本の権力構造をまとめており日本の若者にも特に授業などで見るにはいい教材だと思います。

(なおこの映画は、沖縄戦の記録フィルムを買い戻す運動「1フィート運動」の中で買い取られた映像で、1985年テレビ放映されて話題になった。)







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最終更新日  2004年09月27日 16時56分56秒
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