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関本洋司

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2004年09月23日
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カテゴリ:コラム
 ヘンリー・ソローは『市民としての反抗』(岩波文庫)の冒頭で、小さな政府ヘの志向を表明した。それはもはやアナーキスト宣言と言ってもいいものだが、そうした思考をガンジーが受け継いだのは有名な話である。

 彼の思考法を知るいい例が「太陽」をめぐった記述である。

 『森の生活』のラストで、太陽とは明けの明星にすぎないと彼は書き、別の場所で彼は自分の体の中に太陽を感じると書いている。
 一方は複数化によって相対化し、もう一方は能産的自然を持ち出すことで太陽という絶対的なものを相対化しているのだ。二種は思考法は異なるが、ともに相対化に寄与することには変わりはない。そして、そうした二種の思考法を使い分けることができるという点が、ソローのアナーキストたる所以なのだ。

 ここで、ソローが、(ステート批判として)メキシコヘの戦争に抗議し、(経済的な分析に基づき)納税を拒否した罪で逮捕された際、牢獄の外から「どうしてそんなところにいるのか」と聞いた友人に「君こそなぜここにいない」と答えた話が思い出される。

 そうしたまぜっ返しというよりユーモアに満ちた相対化は、彼の思考法に基盤を持ったものであり、その場限りのものではない。

 権威に頼らないアナーキーな思考を、その生き方において体現し、尚かつ言説化したという点で、ガンジーの先駆者としてのソローは今日的に見直され得るし、今現在もアメリカ内外で(ネーションの枠を越えて)、志を持つ人達の精神的支柱というよりも独立精神を持つ人達を照らす「太陽」であり続けている。





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最終更新日  2004年09月23日 00時09分39秒
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