|
カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
昨日、大豆先生のインタビューのあと、石山恭子ちゃんに
事務所に寄ってもらい、タウンミーティングの打ち合わせを したのだけど、 「あ。ゲストのみなさんのプロフィール、資料のお願い! 恭子ちゃん、やっておいてくれる?」 ってなかたちでお願いをして、 「スギヤマさん、今日わたしブログ当番なんですが、どっち 優先したらいいですか?」 「おお。ブログはわたしが書いておくから、作業優先ね!」 って言っておきながら、朝になってしまいました。 今朝も恭子ちゃんから山のようなメールが届き、 がんばってるね。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ で、何を書こうと思ったかというと。 今読んでいる、白洲正子さんと河合隼雄さんの対談集 『縁は異なもの』(光文社知恵の森文庫)について。 昔から敬愛するお二人の対談本なのだけど、わたしにとっては 別次元で好きなお二人だったので、対談はいいか・・・と思い、 読んだことがない本でした。 茶目っ気のあるお二人なので、対談と対談の合間には、 河合さんが「ウソツキクラブ短信」というウソツキのコラムで 白洲さんを取り上げた原稿が何食わぬ顔で載っていたり、 それをどこで見たのか、これまたしれっと取り上げて白洲さん が書かれたエッセイが載っていたり、 このあたりは、元本の新潮社の編集者のお二人への底なしの 「愛」がきらっと光る一冊となっています。 いくつか気に入ったところをご紹介すると、 白洲さんの言葉で河合さんが気に入っているのが、 「精神的なものが精神を隠してしまう」 というもの。「ナントカ的」なものでナントカになった気に なってしまうことを自戒しています。 気をつけようっと。 河合さんは白洲さんのことを「サムライだ」と思っておられ たようで、 「僕は白洲さんのように、抜く手も見せず一刀のもとに切って 捨てるようなことはできません」と言うと、ちらっと鋭い目 を向けて、じゃああなたはという感じだったので、 「まあ、鎌で寝首をかくくらいで」と言うと、 「それも、怖いわね」と首をすくめられた。 怖い人だったが、ユーモアがあった。それが暖かさとして 感じられた。 わたしはこのやりとりが、むっちゃ好き。 それと、 「本当のことを言うと血が降るんですよ、僕はそれが怖いから 嘘ばっかりついています」と、珍しく本当のことを言う 河合さん。 受けて立った白洲さんは、それは関西と江戸っ子の違いだと 指摘。 白洲さんはご自身のコラムで、 「さすがに深層心理学の大家は私の心の底までお見通しで、 ともすれば正宗ならぬなまくらで、切りまくりたくなる 切ッ先を、近頃はバッチリ鞘におさめて、特に先生の前では おすましでいただがダメだった」 と打ち明ける。 本当のこと・・・って言うと、以前、河合さんが佐野洋子さん に、「本当のことを言ってはいけない」と言われたエピソード をここにも書いたけど、 「本当のこと」を見抜けるか、見抜けないかは、もう そっちでやって頂戴のお二人なので、 そもそも見抜いた「本当のこと」をどう扱うか・・・が キモになってくるなーと、改めて思った次第です。 ・・・・・・・・・・・ 「いい本だなー」 と思いながら、車窓からのアジサイが見事な井の頭線で、 つらつら読んでいたら、 最後のほうに、河合さんの書かれた白洲さんの追悼文が あって、 亡くなられる何年か前に肺炎を起こしかけて三途の 河を渡りそうになった白洲さんの体験を河合さんが書かれて いる場面があった。 「お二人ともこの世にはいないんだなー」というわたしの 意識と、 そこに表現されていた河合さんの文章があまりに美しくて、 (だから、ご興味のある人は本を読んでください) 不覚にも涙が出てきてしまった。 なんだよー勘弁してよー。 と、あわてて電車を降りたのだけど、 「寝首かかれちった」 ああ、やっぱり、白洲さんと河合さんには、 叶いませんワ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 11, 2008 10:10:45 AM
コメント(0) | コメントを書く
[杉山千佳(子育て環境研究所)] カテゴリの最新記事
|
|