杉山です。

先週の木曜日は少子化対策特別部会が行われ、横浜市の
保育園・放課後児童対策についてのヒアリングと、
保育園を考える親の会代表の普光院さん、全国学童保育
連盟の事務局長の真田さんのヒアリングが行われました。

本筋の議論とは別に、そこで特に興味を引いたのは、
戦後まもなくからの学童保育の数の推移です。

わかりやすいので、30年前の１９７８年を拾うと、

学童保育数は約３０００箇所、補助金は1億1240万円

で、現在２００８年になると、

学童保育数は、１７４９５箇所、
補助金は１８６億９４００万円。

ここまで増やしていますが、まだまだ待機児がいる状態です。


30年前のほうが子どもの数は多かったと思うのだけど、
3000箇所で間に合ったんだ～～。
子どもたちはどこにいたんだろうなあ？？

専業主婦ばかりというわけでもなかったろうし、
おじいちゃん、おばあちゃんと同居している家庭も多かった
んだろう。

「ただいま！」と玄関にランドセルを放り投げて、
「おかえり」と迎えに出てみたら、
子どもはもうお友だちのおうちに飛んでいった後だった・・・
なんて光景は当たり前であったんだろうな、と、思う。


「地域」で「放牧」が夢のまた夢と化し、
「囲い込み」という言葉が浮かびます。

子どもの居場所は「学校」かよ～と、子どものころ、
学校がさほど好きでもなかったわたしは、
とほほと思ったりするのです。

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今、河合隼雄さんの追っかけをしているわたしは、
さらに食指を伸ばし、河合さんのお兄さん、河合雅雄さんの
本にまで手を出しているところです。

『少年動物誌』（福音館文庫）

ご自分の子ども時代の自然、とりわけ動物とのかかわりを
書いているのですが、
日本でも有数の霊長類の学者さんなのだけど、その卓越した
表現力とスピード感に、圧倒されます。

「キャー虫！やだー」
なんてヒーヒー言いながら、エコとか言ってるアホさ
加減を思い知らされる本です。

とにかく、庭をうごめくヘビに大切に飼っていた十姉妹を
食べられて、復讐に燃える雅雄少年と弟の道雄少年は、

十姉妹を食べたヘビのおなかを切り裂くだけでは気が
収まらず、道や庭でヘビというヘビを見るやいなや、
思いつく限りの残酷な方法で何匹も殺して回った・・・とか、


ヘビが終われば、今度はネズミで・・・

もちろん、ネズミも負けてはいないわけで。
双方、本気の知恵比べが繰り広げられるわけです。

自然と格闘しているというか、
どっぷり自然に飛び込んで、100％遊んでもらていると
いうか、

この体験が、後の河合雅雄さんをつくったのですね・・・と
納得すると、

もう日本はダメかもしれないと思ったりしてしまいます。


　多彩で美しい自然にめぐまれながら、多くの子どもたちは、
室内という物質文明の檻の中で飼育されているような状況に
おかれています。

とても残念ですし、また、不幸なことです。
子どもたちを檻から解き放ち、自然の中でのびのびと遊ぶ
子どもの世界を取り戻すこと、それは子どもに対する大人の
義務だと思います。

　甘ずっぱいキイチゴを口に含み、スミレの花を可憐と思い、
小鳥の声に耳をかたむけ、吹きすぎる風に木々のざわめきを
聞く・・・自然との深いふれあい、それはいのちあるものとの
緊密な対話の世界をもつことです。

そのことは、ともすれば物との対話にあけくれがちな子ども
たちの乾燥した心にうるおいをあたえ、荒れた心に和みを
もたらし、子どもが本来もっている野生の力を回復させて
くれるでしょう。

（河合雅雄『少年動物誌』福音館文庫・「あとがき」より）