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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
杉山です。
連日の出張で、ばてばてになり、ついに風邪をひいて しまいました。 で、昨日行われた少子化対策特別部会に下記の意見書を 提出しました。 こりもせず、認可外保育園について言及したり、 あまり注目されなかった秋田先生の研究についてひとりで コーフンしたりしました。 ご参考まで。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 認可外保育施設、保育の質に関する追加の意見 セレーノ 杉山千佳 ◎ 認可外保育施設について 前回も述べましたが、認可外保育施設のなかでも、もっとも 行政の目の届いていない施設に対しては、早急に何らかの対策 を打ち、少しでもよい環境のなかで子どもが過ごせるよう、取 り組むべきだと思います。 具体的には、 (すぐできること) ・認可外保育施設の認可化移行支援に係る補助制度をもっと手 厚く、利用しやすくできないか。 ・都道府県が把握している認可外保育施設について、市町村も 連携して対応できるよう体制を整える。市町村の子育て支援情 報が、認可外施設にも十分行き渡るよう、配慮。 ・従事者の質の向上のため、自治体内の認可保育園の現役保育 士か定年などでリタイアしたばかりの経験豊富な保育士が、一 定期間、その保育施設の保育にかかわり、実地を通して、様々 なアドバイスを行ってはどうか。 ・従事者の質の向上のため、認可保育園との保育士間の人事交流 のようなことをしてはどうか。 (中期的に進めていくこと) ・認可外保育施設の経営状況、問題点などをヒアリングして、 どのような対応策が有効か検討を行う。 ・認可外保育施設において従事している保育士が6割にとどま るという現状や、ボランタリーな一時保育には無資格者も相当 数いることを踏まえ、経過措置として保育士をホームヘルパー のように1級、2級、3級といった段階制にしていくことも検討し ていく必要があるのではないか。 保育士を標準としながら、サブで保育する場合は保育資格がな くてもいい、ただし、経験年数やボランティア経験などを問う とか、自治体などが主催する子育て支援講座などの修了者とか。 さらに、ソーシャルワーク的なより専門性の高い保育・子育て 支援を行う場合はさらにレベルの高い保育士資格を用意するとか。 ◎ 保育の質に関して ・先日の清原委員の発言を受けて感じたことですが、公設公営の 保育園には、民間ではできない、別の大切な役割があると思います。 自治体の財政事情に合わせて、どんどんと民営化を進めていくの ではなく、公設の保育園を一定程度は残す、それに対して、国と してなんらかの支援を行うということはできないか。 ・先日の資料の中の、秋田先生がおまとめになった 「保育環境の質尺度の開発と保育研修利用に関する調査研究」は、 特に興味深く読ませていただきました。 ことに、保育の質をみるときに大きく2つの方略があること(よ り教師中心でより学業志向のカリキュラムや方法か、より地域に 根ざした、子ども中心のホリスティックなカリキュラムか)や、 「方向性の質」「構造の質」「過程の質」「操作性の質」「子ども の成果としての質」などいくつかの「質」の整理が体系的になされ ていること、質の評価の数量的実証をめざすアプローチではなく、 理念的、思想的に保育の質をめぐる議論を実践の事実に基づいて 行おうとする研究があるという指摘などは、初めて知るものでした。 「保育の場であるセンターをサービス提供の場としてではなく、 地域の多様な声の交流するフォーラム、アリーナとし、保育の質を 外部から評価する評価の言語ではなく、園は子どもや他者との出会 いによって自己との対話を始める場として、意味生成の言語で語る ことの必要性を説く。保育の質の評価は、地域文化にねざした市民 参加のプロセスであり、保育過程の記録を行いその記録をもとに対 話し省察を行う行為であるドキュメンテーションはそのために不可 欠な行為と捉えられている」(資料P39) といった研究があることは、正直なところ、たいへん驚きました。 もし、時間的に可能であれば、秋田先生にOECD各国のそうした 動向をご説明いただく機会を設けていただければ、たいへんうれし いのですが。 以上。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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