杉山です。

先日、まついさんの鑑定の帰りに古本屋さんに寄って、
岩波書店『ブッダの真理のことば　感興のことば』という
のを買ったのだけど、

その時、レジの店員さんが
「（訳者の）中村元さんの本でしたらいつでも買い
　取りますから」
と、声をかけてくれたのが、とても印象に残っています。

著者冥利につきる言葉だよなあー。
いろんな人の手に渡って、めぐりめぐっていく真実のことば。
「普遍性」ってのは、こういうことなのかな？などと、
思ったりしたのでした。

いろんな出会いがあって、ようやくブッタまでたどり着いた
わけだけど、

昨日、何十年かぶりに日本民芸館に出かけ、
「モノ」と対面し、その質感量感を味わい、
久々に柳宗悦の本を手にしてみると、
「これ仏教じゃん」と、「まあ！」な発見がありました。

で、家に帰ると、梅原猛さんの『梅原猛、日本仏教をゆく』
（朝日文庫）が届いており、聖徳太子が日本を仏教国家にした
と、ありました。
それだけでなく、日本という国のかたちをつくった人
と言えるかもしれないと、ありました。

聖徳太子といえば、山岸凉子さんの『日出処の天子』。
わたしと同世代の女子なら大和和紀さんの『あさきゆめみし』
と並んで、必ず読んだ思い出のマンガのはず。

「憲法十七条」って名前は知ってたけど、十七条を
全部読んだこともなかったよ！

これって、日本国の原理原則のはずだろう？

なんてうっかりな！

（そんなうっかりは、わたしだけ？　（冷汗））

と、騒ぐので、息子にあきれられる始末。

でも、「ブッタ」までいったから「聖徳太子」が見えて
くるってこと、あるなあー。

などと、（ややとうのたった）「門前の小僧」状態。

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それにしても、先の「真理のことば～」には、分厚い
訳注がついており、中村さんが原典のサンスクリット語や
パーリ語はもちろんのこと、漢訳の経典やそれにまつわる
研究書まで読み解きながら、ブッタのことばを日本語に訳
されたことが、本当によくわかる。

こういう仕事をみせつけられると、そこらにあるものを、
「あ、便利そう～」とかいって「貸して」も言わずに
ちゃっと使って、いらなくなったら、ぽいっと捨てて
「それでもわたしは平気なの～～」
みたいな生き方は、およそできなくなる。

わたしたちの前を行く世代の人たちのやっていることを
見ていると、戦後、高度経済成長期に自分たちが築き上げ
てきたものを、自分たちで壊す作業を今、せっせとやって
いるように見える。

一緒に壊すのを手伝うか。

それとも。
別の道を行くか。

な、感じかなあ。

その世代世代が持つ課題って、なんとなくあるように思うし。

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武田さんがわたしの本は痛いって書いてくださっていて、
「痛いかあ・・・」と思ったのだけど、

10年ほど前、育児雑誌のライターをしていた頃、
不特定多数の「ママたち」に向けて、
「無痛」の文章をいっぱい
書いていたんだったことを思い出しました。

編集者からは
「読者は中学生レベルだと思って書いて」
「勉強しようとか、知ろうとか、学ぼうといったことは
　書かないで」
厳しいものいいはやめて等々、、、、いろーんな注文が
ありました。

今はどうか知らないけれど、あれは、きつかった。

「子育てがつらい」って叫びにも似たものが読者のお便り
からは届くし、

「情報がママたちを追い詰める」と、専門家や現場の子育て
支援の人たちに言われるし、

それに引きずられるように作り手側もどんどんと、
あたりさわりのないどうでもいいことで、お茶を
濁すようになるし。


「無痛」が好きなら、わたしが書かなくても、そこらに
いっぱい（無料で）あるので、それを選んでくださいな。

でも、「無痛」じゃなくて、「手ごわく」て、「歯ごたえ」
のあるものがほしいなら、たぶん、多少なりともお役に立つと
思いますってことは言える・・・ように思います。

あ、それを敢えて言ったり、やったりするのが
「わたしたち世代」の課題だったりして。
育児雑誌なるものをつくったのは、わたしたちの前の世代の
人たちだったから。


「なんだか違う」と居心地の悪さを感じて、自分に合う情報
を探して、「これかも」と思ってくれる人と出会う。
「やっとみつけた」と感じるかもしれない。

わたしの本は、たぶん、その人のことを水飲み場まで連れて
いくことは、できるように思います。

水を飲むか、飲まないか・・・は、ご自身次第、だなあ。


そうはいっても、梅原さんと並行して河合隼雄さんの
『縦糸横糸』を読んでいるんだけど、

「痛い」ことを、ここまでやさしく、穏やかに書けるって
やっぱり、すごい～～。

と、「人間の出来」の差を痛感してしまいました。
まだまだ、精進が足りないってわけですね。