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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
杉山です。
4月中旬から大学で講義を行うにあたって、NPOの中間 支援組織の方に、いまのNPO関連の世の中の動きについ て、おうかがいする機会を持ちました。 「今は、NPOだ行政だ企業だといった立場で云々するんじゃ なくて、地域における課題がみつかったら、「やろう」 とおもったところが、やっていくって感じね」 とうかがって、「おもしれー」と、わくわくしました。 何度も言うけど、一番最初に動くのは、ミクロであり現場 であるのでしょうね。整理や分析がつかない状態。 そこにいる人たちは、むちゃくちゃ大変なんだけど、 その大変さを支えるために、NPOの中間支援組織のような ところが存在するのだと思います。 で、本題は、 先ごろ、内閣府男女共同参画局がまとめた 「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女に ついて」とりまとめに向けた論点整理 です。 男女共同参画って何やってるの・・・と、時々毒づいたり していましたが、「そうそう。こういう仕事をやってくれ ると、さすが!!って胸が熱くなるのよね」という、 すばらしい調査報告書でした。 詳しくはこちらのHPから、 「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女 についてとりまとめに向けた論点整理」 にいってもらい、ダウンロードして読んでみてください。 概要と本文がありますが、本文にはデータもばっちり ついていますし、補足のコメントも随時書き込まれていて、 さすが研究者の集まりの報告書 (自分はなかなかできないけれど、やってあるのを見ると うっとりしてしまう) という内容なので、ぜひ、本文をご一読ください。 「生活困難」とは何か 経済的困難に加え、教育や就労等の機会が得られない、 健康を害する、地域社会において孤立するなどの社会 生活上の困難も含めた広い概念として捉える。 といった定義づけも(やるのが当たり前と言えば当たり 前ですが)、なるほどと納得するし、 単に経済的な困窮だけに焦点をあてるのではなく、 「自分の力だけでは乗り越えられない何らかの不利な 状況(健康、教育、家庭の事情等)」 を抱えた人たち全体に対して、まずは実情を明らかにして いこうという調査を行っています。 そこで明らかになったのは、日本においては、女性の 生活困難に陥るリスクが高いということです。 母子家庭は増える一方ですし、女性の非正規雇用の割合の ほうが、男性よりも高いわけです。 そうした、これまでももちろんそうだったにも関わらず 今まで黙殺されてきてしまったような、女性の問題につ いて、きちんと指摘すると同時に、 外国人の問題や、父子家庭、子ども、若者、高齢男性の 孤独などについても、その問題を明らかにしています。 深刻なのは、困難な状況にある家庭で育った子どもが 自分もまた成長して、そうした困難な状況のなかで 家庭を営むなり連鎖せざるを得ないという状況です。 これまでの制度からとりこぼれてしまった新たな課題に 対してできることは、新たに「ニート・フリーター」 対応だの、「単身高齢男性」対応だのと、課題別に 縦割りで対応するのではなく、 個人を一貫してフォローし支援する仕組みを作る必要が あると、書かれています。 それには、制度間の連携や体系の見直しのほか、NPOや 企業の民間機関との連携による柔軟な共助の仕組みの 構築やそれら民間機関に対する支援のあり方の検討の 必要性も指摘しています。 ・・・・・・ 子育て支援でいうと、カネもあるし、情報の入手方法も いくつも知っていて、別に困っていないママに手厚い支 援をわんさかするぐらいなら、 生活困難な人たちに対して、何ができるか(課題解決) を考えていく必要が、出てきている気がしています。 特に子どもの問題。 あわせて、これは行政のお世話になるほどの課題でも ないと思うのですが、 無理して「ママコミュニティ」に同調せざるを 得ない気の毒なママ(も一定数いると思うんだけど)を 「そんなこと無理してしなくていいんだよ」と 伝えて、その人らしく、のびのびと生きていけるように 励ましてあげたいなーと思う、この頃です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 5, 2009 10:38:30 AM
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