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2006年01月13日
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カテゴリ:読書
1.『汝もヒトなり』
「アジア怪食紀行/知恵の森文庫」「不味い!/新潮文庫」 著・小泉武夫


年末、お節を作る合間に読んだ本。
前者は既に何度か読み返している本で、微妙に気に入っていなくもないかな。(どっちやねん)
異文化食ネタは面白く読めて好きなのだが、この本そのものをまるっと受け入れるには、何となく違和感あり。
成る程、“鋼鉄の胃袋”“冒険する舌”である。
出会う食べ物食べ物を、闊達に食べつくす様は天晴れなるかな。
だが、そこにそこはかとなく欺瞞の香りが。
非常にフランクな人柄にに見えつつも、そこはかとなく倣岸さが垣間見えるような気がするんだよなぁ。
“これだけの異文化に、差別意識なくすんなりと溶け込める文化人なオレ様”って感じ。
そこまで言ったら言い過ぎかしらん。
この本の文体が、飲み屋のおっちゃんに語り掛ける態なのも、鼻に衝く一因なのかも。
そもそも、殊更“臭いが旨い”と言い募っているのも怪しい。
どんなムリクリな食べ物でも、味わい深くお召し上がりになる舌って、どれほど寛大なんやねん。

と思っていたら、タイムリーに「不味い!」を発見。
此方は、素直に“こいつぁ不味い”と、ブチブチと文句をたれてらっしゃる。
そうだよなぁ、リトマス紙が濃紺になるほど強アルカリな発酵した魚料理(フォンフェ/韓国料理。エイを発酵させたもので、激烈なアンモニア臭だとか)なんて、慣れぬ日本人にとっちゃ、異食以外の何物でもないはず。
「アジア怪食」の方では、フォンフェ食堂に3日間通い詰めただけで、“慣れたら味わい深い”なんて仰って、嵌ったかの如くの記述だったのに。
血の腸詰なんかも、「怪食」では好物のように記していたが、やはり苦手だった模様。
さもあり南京玉簾。
その方が、遥かに人間的だと思うよ。
どれだけ許容範囲の広い舌とて、あらゆる異文化食を受け入れるとは信じがたいもん。
その他の不味いネタは、ありがちな話。
予想の通り、“現代の食は間違っとる!”なブーイングが書き連ねられて、新味なし。
化学調味料や油分過多に対する苦言は判らなくもないけれど、“卵の耐え難い生臭さ”についての文句が繰り返されるには疑問。
そりゃ、卵って生臭くなくはないけどさ。安い卵だと、特に。
でも、そこまで論って言い立てる程だとは、思えないんすけど。
“鋭敏な味覚・嗅覚”を誇示されているようで……
っと、文句つけすぎかな。
汝もヒトなり、そして、我もヒトなり。お互い様ですな。

読み物としては、圧倒的に「アジア怪食紀行」の方が面白い。
文句をつけたが、怯まずに土地土地の食べ物に挑戦する姿勢には脱帽。
居ながらにして異国の味に触れる気分になれる本。



2.『時代相手の一人遊び』
「血と薔薇3」澁澤龍彦編集 河出文庫

此方は年明け早々読んだ本。
今年一年、こんな幕開けで良いのだろうか?w
正直、購入する気はなかったのだが、年末に勢いでget。
今更な感もあり。
昭和43年刊、或る意味、伝説の雑誌だ。
かの澁澤龍彦が編集し、エロティシズムを声高に表明して世に生み出された。
所謂カストリ誌とは違い、学術・芸術性からのエロスの探求が旨。
名前だけは聞いていた雑誌なのだが、こういうのも文庫として出ちゃうんですねぇ。
ヘーセーって、凄いなw

澁澤をはじめとして、稲垣足穂、種村季弘、堂本正樹etc…錚々たるメンバーが名を連ねる。
うっかりして3号「特集・愛の思想」から買ってしまったが、創刊号の「特集・男の死」の方が面白そうだった。
三島由紀夫/篠山記信の「セバスチャンの殉死」フォトが掲載されているし。
すんません、キョーミの方向が下世話です。
でも、余り専門的で難しいのは一寸。
澁澤の本に親しんでいるものの、“愛の思想”だ何だ言われても、素養が足りないので厳しいっす。
こういう時、何事も雰囲気だけで愉しんで、本質的な理解に至る努力をしていない自分の浅はかさを痛感してしまう。
何事においても、教養は必要って事ですな。
譬え、エロスの探求をするにせよ、ね。
っと、閑話休題。

余りに過去の作品で、余りに著名な人々の競演ゆえ、既視感のある文が多い。
この手の世界が好きな向きには、目新しいものはない。
逆に言うと、この雑誌によって、世にマニフェストされたものも多かったとも言えるのかな。
マンディアングの「城の中のイギリス人」とかも、この雑誌が初出だったのね。
結局、3号で放り出されたこの雑誌、澁澤の“時代”を見物客にして為された一人遊びだったのか。
書斎の王子は、果てる前に飽きてしまわれたが。(手を引いた理由は、原稿料の不払いと言う極めて現実的な理由だったらしいけど)
エロティシズムが一人遊びの箱庭に迷い込んでしまった今、振り返ると、遥か最初に居るのはこの雑誌なのかも。
文庫と言えども一寸お高めなので、興味と懐に余裕のある方はどうぞ。
個人的には、読んで悔いなしとは言え、血と薔薇3冊分の代金を考えると、内心忸怩たるものがあったりなかったり。
ビンボボなんだもん。







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最終更新日  2006年01月14日 03時35分16秒
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