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カテゴリ:海外
アテネ市内ですっかり迷ってしまった我々メテオラ隊。
残り時間は刻々と迫っていた。 右じゃねえの?いや左だ。 あ、ここって来たことある!いや違った。 そんなことをしているうちに、ついに残り15分をきってしまった。 「一度車を停めて、誰かに道を聞くしかないよ」とキョーコが言う。 確かにそうだが、それをやっていると絶対に間に合わないであろう。 夕暮れのアテネの道は、そうやすやすと路肩に停車することも許さないほどに混みあっているのである。 車内にあきらめムードが漂う。 ここまで来て・・・・間に合わないのか・・・・。 オモニア広場にさえ行ければ、そこからすぐなのだ。 看板くらい出ててもよさそうなのに。 あーあ・・・・。 信号待ちの車の列で、わしは半分ふてくされた気分で窓の外に目をやった。 すると、じっとこっちを見ている隣の車の男と目があった。 日本人が4人も乗った車がめずらしいのだろう。「何やってんの?」とでも言いたげであった。 とっさにおいらは、窓をあけて叫んだ。 「オモニアーーっ!」 そして体で、 隣の車の男は、それに答えて窓を開けた。 「オモニア?OK、ペラペーラペラペーラ!」 おう!オモニア広場に行きたいことは伝わったようだが、何言ってるかわからん。 再び体で答える。 そこで無情にも信号は青。 車の列は動き出してしまった。 ああ、無念・・・・。そう思った時、隣の男が身振り手振りで、わしにこう伝えるのが見えた。 おお! 「テツオっ!あの車を追えっ!」 「了解!」 それはまるで、闇夜の航海で見つけた灯台の明かりのように、最後の希望の光であった。 バラバラだったメテオラ隊4人の心も、ここにきて一つの目標にむかって固まり始める。 「行けるかも!間に合うかも!」と。 しかし、こう道が混んでいては・・・と思ったが、そこはさすが地元住民の先導である。 混みあう道を外れ裏道をくねくねと進む車を、テツオは必死ドライビングで追う。 やがて、暗く狭い路地を抜けると、目の前に、見慣れた「オモニア広場」が現れたのだ! うぉおおおおおおっ! 車内に歓声があがる。 「サンキュー!」 4人はそれぞれに、窓から感謝の言葉を叫んだ。 先導の男はニヤリと微笑むと、「グットラック」とばかりに窓からピースサインを出して そのまま走り去った。 シブイ・・・シブイぜ!あんた最高だよ! さあ、ここまで来たら着いたも同然。 あとは時間との戦いである。 そうしてついにレンタカー屋の前到着。 車を横付けし、店内に飛び込んだ時、 時計は19:58であった。 やったああああああっ! ギリギリ間に合ったぞ!いやっほう! レンタカー屋のおばちゃんが目を丸くして言う。 「あなたたち、ホントにメテオラ行ってきたの?ホントに? イッツ、ミラクル!」 そうだろ?そうだろ? まさしくミラコー。やったぜっ! 我々メテオラ隊の盛り上がりは最高潮に達した。 ああ、なんだろうこの達成感。 まるで甲子園出場を決めた高校球児のように、わしら4人は手を取り合って喜んだのであった。 実際はそうたいしたことを成し遂げたわけではないのだが。 昔の人はよくいったものである。 「終わり良ければすべて良し」 キョーコの勝手ぶりも、テツオのしったかぶりも、Tさんの能天気も、 全部どーでもよくなっているおいらがそこにいた。 そして、「すっげえ楽しかった!」って気持ちだけが残った。 そしてそのあと、4人で「祝勝会」。 余韻と興奮が冷めやらぬまま、おいらは最高にうまいビールを飲んだのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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