カテゴリ:日本語研究・日中対照研究
一昨日、本当に久しぶりに
日本語教育関係の講座に参加してきました。 題名は、 「中国人学習者のための日本語教育文法と第二言語習得研究」。 日本語教育現場を離れて久しいつばめですが、 「中国人学習者のための文法」というのがあるのならそれを知りたい、 そして「第二言語習得研究」というのにも興味をひかれ、 「1歳半の子供を抱っこしてでも参加したい」と申し込みをしました。 講演される張麟声先生は、北京外国語大学で修士課程を修了後、 大阪大学文学研究科にて博士号を取得されています。 その後、同志社女子大学、立命館アジア太平洋大学などで 教員を務められ、現在は大阪府立大学の教授。 ネットで研究業績を調べてみると、論文だけでなんと68も。 野田尚史『「は」と「が」』(くろしお出版)の中国語版出版にあたり、 その翻訳もされているようです。 日本の第一線で活躍されている言語学者(在日20年の中国人教授) の話など、なかなか聞けるチャンスはありません。 ま、子供が昼寝してくれたら少しは話を聞けるかな、 起きたらもう途中退席だな、と思っていたのですが、 ちょうど親戚が家にきていたので、 これ幸いと、子供を家に預けて(押しつけて笑)、 会場へ向かいました。 お話は、私が期待していた、「中国人用日本語文法」のことを 教えてもらえるというものではなく、 どういうふうにして中国人向けの日本語教育文法を作っていくか、 という方法論を中心に語られ、その研究を一緒にしてくれる方はいませんか、 というお誘いのような内容でした。 こういう研究をするには、日本語、中国語ともにネイティブ並みで、 かつ高い言語分析の能力を持つ研究者が数多く必要なわけですが、 日本国内にそういう人がそう多くいるわけではなく、 中国にそういう人材はいないかと考えるのも当然のことかもしれません。 そっかー、研究者なぁ。。。 つばめも一時、大学院に行って国語学や日本語学を 研究するのも楽しそう~、とあこがれた時期もあったけど、 今からはもう無理だろうな~、と思いつつ、 せっかく来たので、講座終了後、質問をしてみることにしました。 ひとつは、もし万一、日本語学のようなものを勉強するなら、 どういう大学がいいのか知りたかったので、 教授が挙げられた大学は関西が多かったけれども、 日本語学の研究は関東より関西のほうが進んでいるのか、ということ。 (本来はそんなこと自分で調べるべきことだと思いましたが、 せっかく来たので質問することに・・・図々しいですね笑) ふたつめは、20代の人にぜひ、教授の研究室に入って 一緒に研究してほしいというお話について、 30代以降は能力が落ちていくから 20代の人、とおっしゃっているのか、ということ。 答えは、記憶力という面では、年を経るごとに 少しずつ衰えていくということはあるかもしれないが、 それより、30代になると、特に女性は、 結婚・出産などで研究に打ち込める環境ではなくなるから、 というようなお答えでした。 研究者となると、片手間に、というのではできず、 生活の全てをかけて、一心不乱に研究に打ち込まなければならない、 修士で2年、博士論文を書くのに、3年で書ける人はごくまれ、 4年、5年かかって一つの本のような論文集を書き上げるのだそうです。 お話を聞いて、至極納得。。。 今の私の状況では、研究者なんて全く無理ですね。 そして、つばめが感じたのは、 「教授は、研究が好きで好きでたまらないのだ」 ということです。三度の飯より研究が好き、 生活のすべてを研究に注いでもそれが楽しい、というようでないと、 研究者としてやっていくのは難しいんだろうな~、 と感じました。 中国人の日本語学科の教授というと、 なんとなく日本で出版されている本の切り貼りで 論文作ったり、問題集を作ったりする人もいる中、 (中国人の大学の先生が参考書を3冊かかえて、 それをくっつけて新しい問題集を作って出版するのだ、 と言っていたのを知っているし、 実際、中国で発売されている日本語関係の本に、 日本の本の問題がそのまま載っていたのを 発見したこともあります。) ほんとに真摯に研究に没頭する方もいらっしゃるのだ、と 新鮮な驚きを感じました。 教授は、研究者になると一生涯お金の面では恵まれない、 とおっしゃっていましたが、 超優秀な言語学者が、人生かけて、 中国人が間違えやすいポイントを きちんとカバーした日本語教育文法を作ろうと おっしゃってくれているのだから、 日本政府は、それにもっと予算を割いても いいのではないかと感じました。 中国政府は世界中に「孔子学院」という中国語学校を作って、 世界での中国語学習人口を増やそうという戦略を実行していますが、 日本も、日本語話者の人口を増やすことは、 自国の国益にかなうと、つばめは思うのです。 「中国語話者のための日本語教育文法」を作ることは、 中国人により日本語を学んでもらいやすくする という点から見ても、非常に有意義な仕事だと思います。 つづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本語研究・日中対照研究] カテゴリの最新記事
|
|