カテゴリ:日本語研究・日中対照研究
さて、シンポジウム当日。
スタートは、大阪府立大学張麒声教授の基調講演 「日本語習得研究のための中日対照研究について」。 なんと2時間ものご講演でした。 講演の最初に、 「研究者とは儲からない仕事だ。 だから、みんな儲けるために研究をしているのではない。 自らの新たな発見を論文にして、後世の役に立ちたいという思いで 研究に取り組んでいるはずだ」 とおっしゃり、研究に取り組む姿勢について、 1.昇進のための研究 2.教育のための研究 3.知的好奇心からの研究 を挙げられ、昇進のための研究ではろくな研究ができない、 純粋に知的好奇心から研究に取り組んでいる研究者は 実はそう多くないが、そうでなくても、 教育者として責任感からまじめに研究しようという姿勢は あってしかるべきだ、とおっしゃいました。 さらに「対照研究」に話は展開。 対照研究というのは一見とっつきやすい研究分野に見えるようで、 レベルの低い自分のテーマが決まらないような留学生が、 「対照研究なら何かできるかも」 というような気持ちで、安易に対照研究を選ぶ傾向があるそうです。 その一方で、山田にせよ、田窪にせよ、益岡にせよ、 一流の文法研究者は複数の外国語に通じており、 日本語研究といっても日本語だけを見ているわけではなく、 実は頭の中で多言語を対照しながら 日本語を研究しているのだということを述べられました。 張先生の講演の話題は多岐にわたり、 深い知識の蓄積を感じさせるものでした。 最初に若手研究者に向けて2時間もの講演をしてくださり、 3日間にわたり14名の発表者それぞれ25分の発表の後に 35分ものコメントをくださいます。 ご指導の先生方は発表者の何倍もの労力をかけて このシンポジウムを開催してくださっているのですね。 張先生のご講演の後、午後から発表スタート。 発表者の発表もさることながら、 先生方のコメントを聞くのがとても勉強になります。 張先生は発表者の発表を聞きながら時々目をつぶっていらして、 お疲れで寝てらっしゃるのかと思いきや、 発表が終わると目を開くやいなや、 ものすごく的を射たコメントを次々と繰り出されるので きっと目を閉じて聞くほうが発表内容がよく頭に入るのかもしれない と思っていたのですが、 時々首を横に傾けて本当に寝入ってらっしゃるご様子。 にもかかわらず、起きた瞬間からコメントが何十分にもわたって 次々と口から出てくるのが本当に不思議です。 1日目の発表終了後、 「先生は、発表者の発表テーマに関して、 事前に予習などされるのでしょうか。」 とお聞きしてみたところ、予習などはしておらず、 発表を聞いてその場でコメントを考えているとのこと。 こういうのはもう、長い研究生活における厚い知識の蓄積と 天性の才能なのでしょうか。 分かりやすく、かつ本質をついた先生のコメントには 発表者も聴衆も頷かずにはおられません。 張先生のコメントは、不足点をはっきりと指摘されるので きついといえばきついのですが、 その中にも、発表者に対する思いやりや温かさが感じられ、 私は張先生にお会いすればするほど、 その懐の深いお人柄に魅せられます。 どんな発表でも必ずひとつぐらいはほめ、 期待しているからこそ厳しいことをいうのだということが伝わる ご指導をされるのがよいなぁと思います。 つづく。 ↓大連時代、このワンルームマンションに住み、 ソフトウェアパークの企業で 日本語トレーニングの仕事をしていました。 IMG_1195 posted by (C)つばめ ↓路面電車も健在。昔はこんなにきれいだったっけ? 地下鉄も通っててビックリ。 IMG_1344 posted by (C)つばめ ↓ちょっと大阪の中之島の景色に似てる!? IMG_1517 posted by (C)つばめ IMG_1484 posted by (C)つばめ ↓大連の夜景はカラフルで夢の世界のよう。 IMG_1182 posted by (C)つばめ IMG_1167 posted by (C)つばめ ↓中国一の広さを誇る星海広場。天安門広場よりも広いとか。 IMG_1253 posted by (C)つばめ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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