カテゴリ:日本語研究・日中対照研究
昨年11月に福建省泉州で第一回開催となった翻訳学シンポジウムは、
日本・中国各地の大学から 約170名もの学者の方々が集まる盛大な会でした。 10数億人の人口を持つ国で、 中国や日本の大学で修士・博士課程をとり 大学で教鞭をとられている方といえば エリート中のエリート。 日本人顔負けの日本語を話す人もおり、 中国人は本当に優秀な人が多いんだな、と感心。 中国は国土が広いだけではなく、 エリートの数も人口からざっと考えて日本の10倍?と考えると、 日本が逆立ちしたって勝てない圧倒的な規模の差を感じます。 そんな中国人の中でも、とりわけ印象的だったのは、 主催大学の外国語学院長のスピーチ。 中国語で、しかも相当早口だったので、 つばめに内容がよく理解できたとはいえませんが、 そんなつばめにもスピーチの素晴らしさだけは伝わり、 スピーチ終了時には思わず立ち上がって拍手を送りたくなるほど 圧倒的なパフォーマンスでした。 本当に頭の切れる人というのは、いるものなんですね。 しかし、本当に驚いたのはその後。 フォーラム終了後、170名ものチャットグループの中で、 今回の研究会の発起人、院長、招待講演の先生方の発表について アンケートがとられ、そのランキング結果が チャットグループの中で即日シェアされたのです。 もちろん、一位は院長。 チャット内には院長を褒め称える声が満ち溢れました。 つばめは招待講演された方々に対する 評価アンケート用紙(電子版)がチャットに流れた時、 「へー、そんなアンケートなんて取るの~」と思いましたが、 内部資料として参考にするのだとばかり思っていたら、 アンケート結果がすぐに170人全体にシェアされたことに驚きました。 こんなことをしたら、次回専門家の先生方は ビビッて来てくれなくなるのではないかと 院長にチャットでお伝えしたら、 「これは国際的な会議の慣例ですよ。 ごまかしたって、意味がないでしょ。 専門家の方々も、学生が教師を評価するのと同じく、 参加した学者たちの評価を受けなければなりません」 とおっしゃる。 「フォーラムの発起人や招待された専門家の先生方は、 事前にこのことを知っていたのですか」 と聞くと、 「閉幕式の公開の席上でアンケートについて言いましたよ」 と言う。 確かに、アンケートについては一言触れられたかと思いますが、 170名もの中国各地の日本語関係の学者が集まるチャットで 即日公開するとはおっしゃらなかったと思うけれども。。。 事前にそういう話になっていたのならいいけれども、 突然の通告だったのなら、あまりにも酷では?と思うつばめ。 「こんなやり方をしては、次回専門家の先生方は 来てくださらないのではないですか」 と言うと、 「評価が良い人はアンケート公開なんて怖くないし、 評価が悪い人は次回呼ばないから問題ない」 と強気。 「英語圏ではずっとこれがスタンダード。 今回は日本語の初のフォーラムだったので緩めだったが、 第二回目はそうはいかない。」 これが国際的なスタンダードだと言われると反論もしにくいが、 「日本人はスピーチなどを苦手とする人が多いと思います。 院長先生ほどのスピーカーは、探してもなかなかいないと思いますよ」 と一応日本人の立場で言い訳をして 院長とのチャットを終えた。 教壇に立つものは、一介の教師であれ、専門家の大先生であれ、 必ず聴衆の評価というものを意識して、1回の授業なり、講演なりに 真摯に取り組まなければならないのだということを 改めて思い知らされた出来事でした。 ↓4月の北京は花盛り 花1 posted by (C)つばめ 花2 posted by (C)つばめ 花3 posted by (C)つばめ 花4 posted by (C)つばめ 花5 posted by (C)つばめ 花6 posted by (C)つばめ 花7 posted by (C)つばめ 花8 posted by (C)つばめ 花9 posted by (C)つばめ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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