カテゴリ:日本語研究・日中対照研究
そんなわけで、ギリギリで研究会への参加を申し込んだつばめ。
前日の昼に北京を出発し、 四川省成都まで21時間の夜行列車の旅。 つばめはバタバタする飛行機よりも、列車の旅が好き。 列車に乗ってさえしまえば、他のことはできないので、 ゆっくりした時間を過ごせます。 特に今回は研究会参加といっても、 発表するわけではないので気が楽です。 夜行列車に揺られながら、前から読みたかった本を読破。 『片付かない!見つからない!間に合わない!』 いちばん片付かないのは私の頭の中。 すっきり片付いたらどんなに良いか。 朝8:30に成都駅に到着し、成都理工大学までタクシーを飛ばし、 滑り込みセーフで会場に駆け込みました。 プログラムは以下の通り。 中国語話者のための日本語教育研究会(第44回)1 posted by (C)つばめ 中国語話者のための日本語教育研究会(第44回)2 posted by (C)つばめ 最初の特別講演は、張麟声先生の 「使い分け研究の盲点と母語干渉が「共作する」誤用について」 です。 日本語に対する理解不足と中国語の母語干渉が 「共作」することによって誤用が生まれるという 新たな視点を提示されました。 「ここ数回のテストでは、彼はいつも第一名だ。」 日本語母語話者なら「トップ」などとするところ、 中国語母語話者は「第一名」としてしまいがち。 この誤用は、中国語の「第一名」をそのまま日本語で運用してしまう 母語干渉によるものであると同時に、 日本語では順番を数える場合に、 「第~」「~番(目)」などいくつもの言い方があり、 その使い分けについての理解が不足しているため、 誤用につながっている面もあるという。 言われてみればその通りなのですが、 言われなければ案外気づかないところであり、 このタイトルを見て、なるほど、と改めて頷かされます。 講演の後半では、研究会の目指すところについて、 「中国の国家基準に基づいた 日本語教科書の書き換えにつながる成果を出す」 という大目標を掲げられました。 そういえば、昨年11月に福建省泉州で開催された応用翻訳学会でも、 主催大学の外国語学院院長が、中国の国家戦略に基づいた 研究の方向性を提示されました。 思うに、中国の研究者は皆、多かれ少なかれ、 心のどこかに、「国のため」という意識があるような気がします。 自分の研究が国の役に立ち、国の利益につながることを 意識しながら研究に励んでいるのです。 日本でも、このテーマは国の研究費が出やすい等 あるのだろうと思いますが、 国からお金をもらうことは考えても、 「日本の国のために資する」という意識を持って 研究に励んでいる研究者はどのぐらいいるでしょうか。 張麟声先生が立ち上げられたこの研究会の名称だって、 「中国語話者のための日本語教育研究会」です。 中国語話者のための日本語教育文法を開拓し、 中国語話者の日本語学習に資するということが大目的となっています。 具体的には、 「中国の国家基準に基づいた 日本語教科書の書き換えにつながる成果を出す」 ということになります。 こうして考えると、 日本人の私が中国語話者のための研究会に出てて どうするんだ、という気がしないでもないですが、 中国語話者のためにより日本語を学びやすい環境を整えることは 日本にとってもメリットがあるはずだと私は考えています。 それにしても、 「中国語話者のための日本語教育研究会」があるなら、 「日本語話者のための中国語教育研究会」があってもいいのになぁ~、 とやや寂しく思うつばめなのでした。 つづく。 武侯祠1 posted by (C)つばめ 武侯祠2 posted by (C)つばめ 武侯祠3 posted by (C)つばめ 武侯祠4 posted by (C)つばめ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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