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カテゴリ:小説
「あさっての献立、何にしましょうか?」
そう訊ねると、畳の上であぐらを組んでカメラをいじっていた勇作は大げさな 表情で首をひねった。 「そうだなあ。玲の作るもの、何でもうまいから迷っちまうよ。ビーフストロガ ノフもいいし、グラタンもいいし……」 「先生、それ洋食ばっかりじゃないですか。何でもおいしい、っていう割にはす ごく好みが入ってますね」 そうツッコミを入れると、勇作は少年のように唇をとがらせた。 「だって好きなんだから仕方ねえじゃねえか」 そんな彼の子供っぽさが愛らしくてたまらないと玲は思わず笑い声を上げる。 つられてすぐに勇作も破顔した。こんな和やかなやりとりができるのはこの一週 間ほど――レイがフリーハウスを去り、玲が正式な厨房係となってからだった。 現在、厨房は玲が一人でやりくりしている。最初はレイと二人がかりでやって いたのに、ちゃんと切り盛りできるか心配だったのだがそれは杞憂に終わった。 たしかに二人がかりでやっていた頃より仕事量は多いが、勇作もよく手伝ってく れるし、元々一人でできる仕事だったのだ。 そう思い当たった玲は、勇作に尋ねてみた。厨房補助として自分を雇う必要が あったのかと。 つづく ポチっと押していただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月11日 17時45分25秒
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