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カテゴリ:雑食、映画大好物
映画『プルミエール~私たちの出産』を観に行った。
http://premiere-movie.com/ これほど観る人によって感じることが違う作品はないかもしれない。 私も何の予備知識もないまま行ったので、 素直な感想をもつことができてよかった。 いつか観ようと思っている方は、 誰にも感想を聞かないほうがいいかもしれない。 これを観て、自分が何を思うのか? 楽しみにしてみてはいかがかと思う。 そして誰かと、大いに語り合ってほしい。 特に男性に見てもらいたい気がする。 ネタバレになるので、詳しく書けないけれど、 ふわふわした幸福感にあふれた作品ではない。 ずっしりとした重い現実と、 だからこそ得られる深みを増した静かな感動。 理屈抜きの涙。 涙の理由をことばにすることができない。 作り手のメッセージはどうだったんだろう? 意図を感じて、非常に不愉快に思った部分もあった。 納得できない演出、表現も多くあった。 それも想定内でつくったのかなー? そうあってほしいなー。 私自身、はじめての子供を自宅で出産することを選んだ。 「自宅出産?流行ってるよね」と嘲笑ぎみに言われることも、 「ナチュラリストのmikiさん」と紹介されることも、 「あなたはスピリチュアル系の人だからねー」とか言われることも、 そーとーにムカッとくるけど、もう慣れた。 別にナチュラリストでスピリチュアル系で、 流行ってるから自宅で産んだんじゃないんだよ。 なるべく自然分娩、完全母乳がしたい。 産前産後のきめ細かい指導と手当てを助産師さんから受けたい。 助産院で産むのも、家で産むのもやることは一緒。 それなら陣痛中に移動したくない。 で、自宅出産に決めただけなんだけど。 助産院はこじゃれたペンション並みの居心地のよさと、 料理の美味しさ、バースプールまであったので、 ぜひお泊まりさせていただきたいくらいだったのだけど、 やっぱりお家がリラックスできる~と思っただけ。 なのに、病院 < 助産院 < 自宅 の順番で変人扱い。 しよーがねーなー…とは思うけど、偏見の壁は厚い。 もし何か危険があって、帝王切開になったとしても、 なんら後悔はないと思っていた。 迷わず危険回避を選び、 西洋医学のお世話になる覚悟はできていた。 だって当然でしょう? 自宅出産することが目的じゃないんだからね。 育児もいっしょでしょ? 子供が育つことが重要。 私が育てることが目的じゃないもの。 主役は子供。私じゃない。 病院出産をしたことがない私が、 「どこで産んでも出産は幸福の極み」 と言ってもいいですか? ともあれ、 10ヶ国、10人の女性の出産を観て、 誰もが思ったに違いないことは、 『どんな生まれ方をしても、命は尊い』 10人もの生まれたての赤ちゃんを見られただけで価値がある。 ただ、ただ涙があふれた。 どの赤ちゃんも、圧倒的な神々しさをもってこの世に生まれた。 それだけでじゅうぶん価値ある映画なのである。 こちらは本↓読んでみたい。 もっと詳しく知りたい。彼女たちを。 ★★★ ここからネタバレ ★★★ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ネタバレ注意 ★ ★ ★ ★ ★ ★ 皆既日食にこじつけた演出はいただけない。 臨月の大きなお腹越しの日食の映像は、 あまりの悪趣味に腹立たしくさえあった。 そして、本人の言葉が、 どうしてフランス語での吹き替えなの? 本人の声で話して字幕にしてほしかった。 これでは台本になったものを、 フランス人声優が読み上げているだけだ。 非常に印象的な言葉がいくつもあったけれど、 ほんとうに本人の声なのか疑ってしまう。 死産してしまったベドウィンの女性の言葉。 「でも、しきたりはまもった」 深く胸をえぐったけれど、ほんとなのかな? 厳格なイスラム教徒であるベドウィン。 現代の出産でありながら、 厩でイエスを産んだマリアを連想させ、 なんら変わらないように思える。 女性の姿を客人にも見せない慣習のイスラム教徒が、 出産の撮影を許すというのは、極めて異例だと思う。 しかも第一子で、あろうことか死産であった。 彼女の心の傷を思うと胸がかきむしられる思いだった。 自分の悲しみより、一族のことが気になっていたのは たぶん本当だと思う。悲しいけれど。 でもね、それを自由の国の人間が、高見から哀れむのは、 あまりにも無知で鈍感すぎるのではないかと思う。 イルカとの出産は素敵だったし、 冒頭の出産の瞬間も感動したけれど、 滑稽にも感じてしまった。 胎児と波長があうというイルカ。 それはとっても素晴らしいことだし、 できれば感じてみたいとも思った。 でもね。 これがベストって言われたら、困っちゃうな。 どんな風に産もうと自由なので、 イルカが身近にいる方はどうぞ楽しんでください。 アメリカの彼女は…。 もう勘弁してください。 全裸でつきそうダンナ様に嫌悪感を感じたし、 陣痛中に自由讃歌をみんなで歌って励ます仲間たちに、 おめーらいい加減にしろよ!! と思った。 いま陣痛で苦しんでいる彼女が、陣痛を知る前に、 「出産の苦しみと喜びをシェアしたい」と言ったかもしれないけど、 忘れてやれ!! 絶対今後悔してるから!! 出ていってくれ、歌えねー…と思ってるから!! デッサンなんかするんじゃねー!! 「出産は自由を獲得する権利運動と一緒」と言ったかもしれない。 忘れてやってくれー。 「一緒じゃなかったな…」って、今思ってるから、きっと。 胎盤をひっぱってあげてた彼女は、 産婦よりも真摯に見えた。 ベトナムの病院のことは、何とも…。 とても驚いたし、改善していけたらいいと思ったけれど、 意図的すぎた編集で、かばってやりたくもなったなぁ。 シベリア唯一の遊牧民の女性が、 自宅出産を禁止している政府の方針で、 ヘリコプターで運ばれて帝王切開をしたのだけど、 なんだか一番感動しちゃった。 産婦は全部を受け入れて、なされるがままだったが、 それでもなお幸福に満ち満ちた感動的な出産だった。 ほんとにほんとに可愛らしい赤ちゃんだったなぁ。 作り手が気の毒と思っている出産をした女性だけ、 うっすらとつたう涙を何度も映していた。 一番泣きたかったのはアメリカの女性なんじゃないの? 「こんなはずじゃなかった」って。 言い過ぎかな。 この出産を賛美している映画なんだろうか? このアメリカの女性が特別長かったし、 他の人はあまり掘り下げていなかったので、 そう思う人も多かったようだけれど。 それなら嫌な映画だなと思うけれど、 私は違うような気がする。 巨大産院でも、帝王切開でも、 貧困のための望まない出産も 全ての女性を賛美し、リスペクトしていたと、私は思う。 逆説的に描いて、観る側は反感を覚えることで、 誰もが全ての女性を無条件に尊敬してしまう。 まっすぐでないアプローチはさすがフランス映画? といったら変かしら? ちなみに日本の女性の出産は、 かなりあっさりしておりました。 何が言いたいんかわからんほど。 3歳の長女をフューチャーしまくっていたので、 やはりそこが印象的だったのかな? 私もかなり泣かされてしまったほど、 可愛いおんなの子でした。 お姉ちゃんになったんだね。 おめでとう!! おめでとう!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 15, 2008 10:30:58 PM
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