何だ何だ何だ何だこの絵は!!!???、赤い顔の馬なのか?
(答えはブログの最後で明かされます)
若冲流シュルレアリズム(超現実主義)、ここに極まれり!
前々回のブログに続き、伊藤若冲の「動植綵絵」全30幅の紹介の2回目です。
前回と同じように、個々の図につきまして、リュウちゃんの素人丸出しの勝手なコメントを入れますことをご容赦下さい。
(11)「老松白鶏図(ろうしょうはっけいず)」→宝暦10年(1760年)頃の作。副題:「晴旭三唱」、「動植綵絵」では初めての白い鶏の図、このシリーズでは前回のブログで紹介した(9)「老松孔雀図」に続く2作目の「白い鳥」の図です。
白い羽が輝いているように見えるために若冲は下地に金泥を引き、その上に糊粉を用いて羽を描いたようです。
まるで錦蛇のような老松の枝と白い羽の対称が絶妙!
(12)「老松鸚鵡図(ろうしょうおうむず)」→宝暦10年(1760年)頃の作。副題:「隴客来集」、(9)「老松孔雀図」、前作「老松白鶏図」に続くシリーズ3作目の「老松と白い羽の鳥」の図です。2羽の白い鸚鵡の視線の先には緑色の鸚鵡が小さなトライアングルに配置されています。
猛々しい鶏の図と比べると、鸚鵡は柔和で可愛いですね。
錦蛇のような老松の枝はこの作品が一番立派!
以上12作が「動植綵絵」第一期作品です。以下、(13)の「芦鵞図」から(24)の「貝甲図」までが第二期、(25)の「老松白鳳図」から(30)の「紅葉小禽図」までが第三期の作品ということになります。
この区分は、その著書「奇想の画家たち」などで若冲を再評価した美術史家・辻 惟雄(つじ のぶお)博士によるものです。
また、第一期の作品に付けられた「副題」は、若冲の禅の師匠で、相国寺の高僧であった大典顕常(だいてん けんじょう)師によるものです。
(13)「芦鵞図(ろがず)」→宝暦11年春の作、(11)の「老松白鶏図」から3作連続の「白い羽の鳥の図」です。背景の「水辺の芦」は荒々しいタッチの墨絵で描かれていて、「動植綵絵」の中では異色の作品です。
鵞鳥の表情がちょっと平凡な感じですね。
(14)「南天雄鶏図(なんてんゆうけいず)」→明和2年(1765年)の作、この「黒い雄鶏」は「軍鶏(しゃも)」、江戸時代初期にシャム国(現在のタイ)から輸入されたので「シャモ」と名付けられたようです。葡萄のようにたわわに実をつけた赤い南天と白菊が軍鶏の猛々しさを見事に表現していますね。
(15)「梅花群鶴図(ばいかぐんかくず)」→明和2年(1765年)頃の作、シリーズ5作目の「白い羽の鳥の図」です。シリーズ唯一の「鶴の図」です。
この図の中には6羽の鶴が描かれていますが、どう数えても5羽にしか見えません。足の数から、かろうじて6羽ということが判るのです。やはり白梅と「白い羽」が印象的ですね。
(16)「棕櫚雄鶏図(しゅろゆうけいず)」→明和2年(1765年)頃の作、黒い雄鶏は軍鶏、白い雄鶏は白鶏シリーズ6作目の「白い羽の鳥の図」でもあります。背景の、かなりデフォルメされた棕櫚は、軍鶏と同じく南国を連想しますが、ヤシ科の植物の中では唯一、日本各地に自生している常緑高木樹なのです。
軍鶏の猛々しさが印象に残りますね。
(17)「蓮池遊魚図(れんちゆうぎょず)」→明和2年(1765年)頃の作、「動植綵絵」では初めての「魚の図」、描かれた10匹の魚の内、上の9匹は「鮎」、下の1匹は「オイカワ(ハヤ)」のようです。まるで空中を泳いでいるかのような作図がユニーク、虫食いだらけのハスの葉も相国寺に寄進された図としてはユニークな感じがします。近代のリアリズムに通じているのでしょうね。
(18)「桃花小禽図(とうかしょうきんず)」→明和2年(1765年)頃の作、蕾から満開、さまざまに咲き誇る桃の花にお枝に5羽の小鳥がXの形に配置された図です。3羽は「白鳩」なのですが、一番下の鳩は目の悪いリュウちゃんにとりましては「白貂(しろてん)」のように見えてしまいました(よく見ると、長いくちばしがあるのですが、)この作品も「白い羽の鳥の図」で、シリーズ7作目に当たります。・
「桃花小禽図」の最下部の「白鳩」から、レオナルド・ダ・ヴィンチの「白貂を抱く貴婦人」(下記)を連想してしまいました。
(19)「雪中錦鶏図(せっちゅうきんけいず)」→明和2年(1765年)頃の作、少し溶け始めた雪に覆われた榧(かや)の木に留まるつがいの錦鶏鳥、「錦鶏」は中国南部からアジアの高地に住むキジ科の鳥で、雄は赤と光沢のある黄色を基調とした華麗な羽を持っています。この図の錦鶏は全体に背景の中に落ち込んでしまったようにリュウちゃんには思われました。
リムスキー・コルサコフ作曲・組曲「金鶏」
https://www.youtube.com/watch?v=ANBfzhm0Ay4
(20「群鶏図(ぐんけいず)」→明和2年(1765年)頃の作、
先ずこのブログの冒頭の図を少し縮小して以下に再掲します。
更に上図を上下反転します。
冒頭の図は「動植綵絵」を代表する傑作「群鶏図」の下部にある正面から描いた鶏の頭部の図だったのです。
上記「群鶏図」には少なくとも13羽の鶏が描かれています。個々の形から推定しますと全て雄鶏、猛々しい雄鶏が12羽も絶妙に組み合わされ、正に雄鶏のエネルギーが大爆発していますね。
写実的な図でありながら、雄鶏の奇妙な恰好が現実的なものとは思われません(特に反転した正面から描かれた図!)。このような表現が、若冲が「シュルレアリズム(超現実主義)のの先駆」という評価が出てくるのだ思います。
「群鶏図」は凄い!
(以下、「伊藤若冲の代表作「動植綵絵」全30幅その3」に続きます)