「時蕎麦」 柳屋小さん
サライ 2008年 6/5号 [雑誌]最近、企画が面白くて、よく買う雑誌「サライ」だが今号は柳屋小さんを特集していて、また買ってしまった。笑小さんと言えば「長屋の花見」。何回聞いても面白くて、小さんの為にある話と言ってもいい。そして、おまけのCDに入っている、「時蕎麦」。前座噺みたいなもんで、やる人もいろいろいるが小さんのが絶品。とにかく、蕎麦を食べる仕草が、もう最高で、声で聞くより、できれば、ライヴで見たくなる。それは、もう天上の人だからかなわないが。実は生前の小さんはあまり好きでなかった。いわゆる名人なんて言われる人のなかではおいらは文楽が好きなんだが、テレビなどで見られる時代は彼らにとっては最晩年といってもいい。志ん生や圓生なんかもテレビで見た記憶はあるがテレビが普及するような時代になって、タイミングがピッタリでその最頂点にいたのが、小さんではなかっただろうか。だから、見た回数も一番多いと思う。ところが、頂点なんていうと、何か権威めいたものを感じて体制、権威嫌いのおいらが、勝手に感情を動かしていただけだったのかも知れない。落語なんていうと、同じ演目をやっていても、その時の調子でずいぶん違う。ビデオなんかで見ても、あまり良くないなあというのが結構ある。ただ、この小さんだけは、ハズレは少ないように思う。上手いと言えばそれまでだが、真面目という性格的なものも大きいのではないか。彼の弟子でもあった立川談志なんて、ムラあるよなあ。久しぶりに聞いた「時蕎麦」。やはり面白かった。笑