第○巻の○○章~(岸田今日子さんの声で)
以前、中学生の頃見た映画、なんて列記したけど、そのなかでもう一回見たい作品が1本ある。「ノストラダムスの大予言」だ。ノストラダムス…21世紀の今となってはほとんど死語に近いものがあるなぁ。いやこれ、人の名前だけどさ。昭和40年代末期、かの五島勉ちゃん(←どうしてもこう呼びたい)の著によって、一躍その名が全国に知れ渡り、いわゆる世紀末ブームを巻き起こしたんである。例の詩と共に。「1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる…」そう、これ。恐怖の大王って何?まぁ、いろんな説が出たもんだった。放射能の雨、核ミサイル、隕石、宇宙人の襲来…、で、実際には何が降ってきたっけ?それはともかく、「日本沈没」が劇場公開された翌年の夏、まさにそのものズバリ、先に挙げたタイトルで映画が作成されたんであるよ。当時私は小学5年生。たしか町内子供ソフトボールの練習明けに、この映画の割引券をもらったっけ。行きたかったなぁ。行けなかったけど。で、中学生の頃、リバイバル公開されたときにようやく見られたのであった。同時上映は、勝野-オッス-洋と竹下-GOROのグラビアはよかった-景子の「ブルークリスマス」。全国的にこのカップリングだったのかな?よく知らないけど。この、映画「ノストラダムスの大予言」、主役は黒沢年男と由美かおる(TV版「日本沈没」からのスピンオフ?)。しかし、真の主役は丹波哲郎その人!(由美かおるの父親役)濃いなぁ~このキャスト。そしてそこに冨田勲の、とてもマイティジャックやジャングル大帝を作曲した人とは思えない、シンセサイザーによるおどろおどろしいテーマ曲と、女死神博士をやるなら彼女しかいない、岸田今日子による「諸世紀」(予言が書かれたとされる詩集)の朗読が重なるんだから、もう、一気に映画の世界に引きずり込まれた。ストーリーは、まぁさて置いて(あってないようなもんだったし)、世界中を襲う数々の異変が、丹波、黒沢、由美の諸氏を狂言回しに次々と描写される。この異変がけっこうグロテスクっていうか、なんていうか。巨大ナメクジや吸血蝙蝠、アクセル全開で絶壁からダイブするバイク乗り、サイケな格好でいずこともなく船出する人々、光化学スモッグにより鏡面化した雲と、そこへ逆さまに映し出されるビル、紫外線で火傷を起こす人々と燃え上がる家、全身ケロイドで体が腐り落ちるニューギニア調査隊員(劇中私が最もショックを受けたシーン)、そして…第三次世界大戦の勃発と、それにより人類が死滅したあと、廃墟で戯れる異形の新人類…。なんかねぇ、見ていて原作を読む以上に絶望的になったな。最後は一種の夢オチの形で終了するんだけど、それまでのビジュアルショックが大きくて、お~い、どこかに救いはないのか?と、見終わったあともけっこう引きずってた気がする。だけど、見たいんだなぁ。これ。ヘタすりゃ五島勉ちゃんの著作にも書かれていないような異変の事例を、半ば東宝お得意の特撮技術で強引に見せきってしまう、そのすばらしい力技がいい。おどろおどろしい、と先ほど書いたテーマ音楽も、実はクセになる魅力がある。実際この劇中音楽を集めたCD、今でも時々聴いてるし。後年「大霊界」でその重々しい演説、語りがクローズアップされる丹波哲郎のキャラはこの映画で確立されたんじゃないだろうか?諸事情で現在この映画、ビデオ化もリバイバル上映もできないらしいんだけど、見られないっていうと見たくなっちゃうのが困ったもので。実際の1999年7月(一説には8月)、異変がなにも起きなかった、というのは周知の事実。しかし、だからといって予言が外れたと判断するのは早計かも。嘘か誠か、五島勉ちゃん、実はフランス語が正確に訳せなかった、というウワサもあるくらいだから。そういえば、こないだ法事のときに、住職から聞いた話。いつもなら紅葉が終わると庭の銀杏の木は全部葉っぱを落とすのだけど、ここ2,3年は何割か枝についたまま残る、それどころか、紅葉しないまま冬を越す葉まであるんだとか…。これって、異変の始まり…?MMRに投稿しようかな…。