あまのじゃく的な突っ込みを入れてみる
前回のエントリー「三月のライオン」9巻の帯に書いてあるキャッチコピーは「家族」でございました。で、内容も家族って良いなーとおもわせるような。7、8巻とヘビーな「いじめ」をテーマにしていた内容がメインだっただけにいや、このほっこり感。しかしこれにはとんでもない爆弾が潜んでいるのである!!!!(と、あおっておりますが、たいした事はございません)以下ちょっとネタ含みばれなんでこれから読む人は読まないでね。☆☆さて、家族って良いなーとほわほわしながら読んだ9巻ですが。はたと彼らの設定をもう一回おさらいしてみよう。実は「世間的には」決していいなーと思えるようないわゆる普通の家庭を登場キャラは誰も持っていないのである!ここでいう日本の「普通」とは。ご両親が居て、時々爺婆も居て、で、こどもが2、3人(4人以上多すぎ、1人子って、なんか不妊治療でもしたんか仲が悪いんかとか突っ込まれ)いてってのが普通、と言われる家庭の構造である。ついでに言うと旦那の働きで専業主婦となったら最高レベルですが最近は流石に母親もパートに出たりしている所が多いけどねー、で、30代で持ち家。(あーすごい、すごいレールがしかれているニッポン)で、これにノリ損ねるとアウトサイダー的な偏見の目で見られるのさ。あ。私の事ですが(爆)どっっちかってえと日本社会が思い込んでいる「家族ってこうあるべき」家族像を結構あまのじゃくしているようなハードな設定なのである。(ほらあ、日本って、「離婚、バツイチなんて隠したがるようなそういうお国柄だったじゃん?同棲?まあ、結婚前に一緒に住むなんて破廉恥な。結婚してないのに子供出来ちゃって、という法律でのもめ事も存在するし」みたいな価値観がいまだに御座いますよね。)ということで、まあ、日本人が持つ家族の当たり前ってなに?というのを再考した深い作品である事が良くわかるのですよ。ふむふむ。ということで設定だけおさらい主人公桐山零くんの設定&家族両親、妹は小4(?)時に事故で死亡。裕福な医者一家なのに親戚に煙たがられて危うく施設に放りこまれそうになるも引き取られて血縁の無い棋士の家にいく。義理両親。義理の姉弟とは、ぎくしゃく(ほぼいじめ)しながら、苦しい思いをして中3でプロデビュー。と同時に耐えきれずに勝手にアパート借りて一人暮らし中。今度高3←イマココ…しんどすぎる。小学生の時点で家の中で自分の居場所が無いって。川本一家あかり(23歳のおねいさん)、ひなた(今度高校)、もも(幼稚園)の三姉妹父親は外に女を作って蒸発(離婚?)。母親はももが小さいうちに病気で死亡。おじいちゃんの和菓子屋を手伝いながら、夜は叔母のクラブを手伝う>あかりひなた>近所の野球少年にLoveな女の子。友人のいじめに巻き込まれ自分もいじめに遭う(これやひどかった。でも実際に良くある。良くある)もも>お母さんを良く知らない幼稚園児。メインのキャラには10代の時点で(下手すると1桁年齢代で)どっちにも両親不在なのだよ!!!家族ってこんなんだっけ?と自分で突っ込んでみる。両親がそろっていても全然幸せっぽく見えないキャラ達幸田一家(桐山を引き取った棋士の家)父親は棋士で、桐山にまけっぱ(苦笑)。いや、それやあんまり関係ない?のかな?息子 将棋辞めちゃう娘 既婚の棋士と不倫中。お母さん 影薄…高木さんひなちゃんをいじめたボス的女子。お母さんモンペ(あの、衣装から高給取りのお父様がいらっしゃると推測するが出てこない。ってか関心が無いのかもしれない)佐倉ちほちゃんいじめの標的に有って家族で療養移住してしまいました。ちゃんと家族で問題に取り組んでいるのはすばらしい!でも、いじめで転校なんて切なすぎる。これも実際に良く有る。------------------------------その他にもやたら強い宗谷名人もおばあちゃんと暮らしている、という表記があるのみ。ご両親はどうなんでしょうね。9巻では宗谷名人が初めて!?誰かと交流するシーンが出ましたが、これは、たった一こまの台詞でしたが、でかいです。これをさらりと表現したウミノ先生凄い人。宗谷名人一人じゃなくてよかったとほっとしたのは私だけではないはず。つーことでよー。これだけ見てるとさー。両親がそろってるからって幸せほっこり、な家もそうないんだぜ、修羅場だぜ、というような日本だけでなく世界の家族ってのの価値観さえも覆すような内容ががっつり潜んでいる恐ろしい漫画なのだ。でなんで、川本さんちとそれにひょっこり入っている零君がとっても幸せに見えるのか良ーく考えてみようね。彼らは厳密に言うと、家族じゃないよ。赤の他人だよーん。きっと高木さんちは日本の集団意識を絵に描いたような理想の家族なんでしょうねぇ。気がつかないのがいちばん恐ろしいです。くわばらくわばら。